解雇される可能性：私がサインした英文契約書の解釈

Question

解雇される可能性：私がサインした英文契約書の解釈私は外資系企業社員です。会社は私を解雇しようとしていますが、就業規則（日本文）は日本企業の一般的なもので、私が解雇に当たることはありません。
・第51条（解雇）1．精神的・肉体的に業務不適当と会社が認めたとき、2．勤務成績が著しく劣り、業務に不適当と認めたとき・・・
・第52条（解雇予告）51条による解雇の場合は30日前に解雇予告をする・・・

ところが、以前英文のコントラクトにサインしたものもあり、そこには下記のように載っていました。
1. Notice of Termination: You agree that you will give the Firm not less than three month's written notice of the termination of your employment with the Firm.

この英文コントラクトの解釈は2つあり得ますが、どちらでしょうか（もし①なら私は3か月後に解雇され得るので）
①3か月の予告期間の後に自由に解雇することを会社に許した、という意味
②この文章では解雇の条件を何も示しておらず、単に予告と期間のみの話であり、解雇条件は上記の日本語社内規則に基づくため、自由に解雇できるわけではない

（すなわち、「解雇の予告」を私は承諾したものの、①解雇も承諾したことになったのか、②あくまで予告だけを承諾したのであって解雇を承諾したわけではないと見なせるのか）

なお、 英文コントラクトにはこれ以外に関連記述はありません。また、日本語の就業規則とコントラクトは全く別に作られたもので整合性は考慮されていません。ただ、英文コントラクトには、「これらの条項が、他の契約と反する場合は、こちらが優先される」趣旨は書いてあります。

Answer 1

Firmという表現が使われていることから、コンサルティングか会計・法律事務所系の会社にお勤めなのだろうかと思いつつ、経験も踏まえて意見をご提供します。

まず、ご質問の最後に書かれている、英文コントラクトに関する記載は「優先条項」と呼ばれるもので、これを根拠として解釈上は英文コントラクトの定めが和文の就業規則より優先して適用されることになります。

外資系ファームの場合、日本の労働法で就業規則の整備が法的に義務付けられているので形式的に就業規則が存在する、といったケースは多くあります。

英文コントラクトに書かれている、「3カ月の猶予期間（その期間は出社しなくても給与は支払われる）をもって解雇する」というやりかたは、外資系企業ではかなり一般的です。日本の労働法では30日の事前予告を義務付けていますが、3カ月ならばそれをクリアしているので、その点は争点にはなりません。

企業が従業員を解雇することは条件付きで権利として認められています。それでは、どういう場合に「不当解雇」とみなされるのか、については多くの判例を吟味してみなくては判断がつきません。

結論としては、現在勤めておられる会社が解雇通知をあなたに出した場合には、基本的には英文コントラクトに従い、解雇されることになります。しかし、日本の労働法は各企業の雇用契約（コントラクト）よりも強制力が強いので、あなたが日本の労働法に則って不当解雇の訴えを起こすことは可能です。しかし、訴訟には時間と資金が必要ですので、勝算があるかどうか、慎重に検討してから判断する必要があります。実際、多くの場合、3カ月のフリーランスをもらって転職活動を行い、円満退職・自己都合退職という形式にして会社を去る人は多いです。

ご参考になれば幸いです。