海外でも日本と同じような問題が起きています。 例えばヨーロッパでは長年にわたり東ヨーロッパの人、近年はそれに加えてフィリピン人を低賃金で使うことが多くありトラック運転手も同様です。労働組合の国際運輸労連(ITF)は長年にわたりこれを問題視してきましたが、この問題は未だに解決には至っていません。 賃金に関してはようやっと改善が見られますが、これも元々が低水準だったことによる成り手不足という経緯があります。例えばイギリスですが、2021年のBBCの報道によれば40%の賃金の上昇があったとのことです。イギリスもまた東欧人を使い運転手の給与水準に下げ圧力があった国なのですが、ブレグジットにより東欧人が大陸へ帰郷し、加えてそこに新型コロナの流行もあって、エッセンシャルワークであるトラック運転手の不足という事態に陥りました。それへの反動として起きたのが先の40%の賃金上昇です。 僕が知る限り先進国に関してはどこも似たような問題が起きています。アメリカも20年近く前から「既にトラック運転手は稼げる仕事ではない」と言われていましたし、オーストラリアでは価格決定力を持つ大手運送会社が給与や下請けへの運賃を抑えたという報道もありました。その当然の帰結として、各国でトラック運転手志望者を減らすことになったのです。 給与や下請け運賃の上昇の動きがみられる国もあるのですが、これは先述のイギリスと同様にこれまで低く抑え過ぎた結果として労働力不足が起こり、市場原理として一気に上昇に転じたものです。ただ元々の低賃金化・低運賃化は、運転手や下請け運送会社の供給過剰による市場原理の働きというわけではなく、政治体制の結果や、一部の大手による賃金運賃抑制策であったもの。ある面では景気が良さそうに見えても、市場や産業構造が健全化したとは言えないでしょう。
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