解決済み
全部原価計算と直接原価計算の違いは、固定費(固定製造原価)の扱いが違うという点のみです。 直接原価計算は、変動費は当期に販売した商品に係る分のみ売上原価とし、 固定費は当期の実際発生額全てを売上原価とします。 全部原価計算は、変動費も固定費も、当期販売に係る分のみ売上原価とします。 例えば、変動費@300円のものを、当期に100個生産し、そのうち80個を販売したとします。(つまり、期末製品として20個は残ります)。また、固定費は1,000円だとします。 この場合の売上原価は、 直接原価計算:80個×300円+1,000円=25,000円 全部原価計算:80個×300円+80個×10円(※)=24,800円 となります。 (※)固定費1,000円÷生産量100=@10円 全部原価計算のほうが、200円だけ売上原価が少ない、 つまり、営業利益(売上高-売上原価)は200円大きくなります。 この固定費部分の扱いの差によって営業利益に差がつくという事に着目して、 全部原価計算の営業利益ー直接原価計算の営業利益 =(全部原価計算の)期末に係る固定費ー期首に係る固定費 という式で表わされます。 期首の仕掛や製品が0、売上高は30,000円だとすると、 (30,000-24,800)-(30,000-25,000) =期末に残った製品20個×10円ー期首0 つまり、200=200となり成り立ちます。 質問にある式は、これを変形して 全部営業利益=直接営業利益+期末固定-期首固定 とする事で、直接営業利益を用いて全部営業利益を計算する場合に用いる式です。
固定製造原価の原価計算上の取り扱いが両者で異なるだけなので、そのことをクローズアップして記すと、 <直接原価計算> 当期総製造費用 固定製造原価 ↓ 当期の全額費用となります。(これを期間的対応といいます)。 一方、全部原価計算では、先入先出法や平均法といった原価配分方法にしたがって、製品との関連で個別的対応となります。 <仕掛品勘定> 当期総製造費用固定製造原価+期首仕掛品に含まれる固定製造原価-期末仕掛品に含まれる固定製造原価 =当期製品製造原価 ↓ <製品勘定> 当期製品製造原価+期首製品に含まれる固定製造原価-期末製品に含まれる固定製造原価 =売上原価 つまり、仕掛品勘定と製品勘定を集約しますと 当期総製造費用固定製造原価+期首仕掛品に含まれる固定製造原価-期末仕掛品に含まれる固定製造原価+期首製品に含まれる固定製造原価-期末製品に含まれる固定製造原価 =売上原価 ↓ 当期総製造費用固定製造原価+期首棚卸資産に含まれる固定製造原価-期末棚卸資産に含まれる固定製造原価=売上原価 ただし、棚卸資産というのは、仕掛品や製品をさします。 このことから、直接原価計算では、当期総製造費用固定製造原価が、そのまま当期の費用となりましたが、全部原価計算では、当期総製造費用固定製造原価に期首棚卸資産に含まれる固定製造原価を加えて期末棚卸資産に含まれる固定製造原価を差し引いた額が、当期の売上原価となることより、直接原価計算の営業利益と全部原価計算の営業利益を比べると、全部原価計算の営業利益の方が、直接原価計算の営業利益よりも、期末棚卸資産に含まれる固定製造原価だけ大きく、期首棚卸資産に含まれる固定製造原価だけ小さくなるということになります。 これを計算式にすると、 全部原価計算の営業利益=直接原価計算の営業利益+期末棚卸資産に含まれる固定製造原価-期首棚卸資産に含まれる固定製造原価 ということとなります。ここで、期間的対応や個別的対応というのは、よく穴埋め問題などによく出てくるので、出題時には、きっちり埋められるようにする必要があります。
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