1.はまず適切ではないですね。これははっきりしています。 実際の訴訟でも解雇が無効とされた場合に、それまでの賃金請求権があるとされています。ノーワークノーペイの原則に反するわけですが、賃金請求権が認められないとすると、解雇して後で無効となった場合でも賃金を支払わなくて済むのであれば、使用者側には何らデメリットがなく、解雇し放題ということになります。 2.実はこれが問題です。 整理解雇する際に、無期契約社員と有期契約社員に関しての違いがあるのかどうかなのですが、有期契約だとしても既に何度も反復更新していて既に常用的に雇用されていると解釈できる状況では、いわゆる解雇権法理、労働契約法第16条が適用されるものと考えられます。ですから、有期契約社員といえども容易には解雇できないわけですが、無期契約社員と有期契約社員の間でではどちらを指名解雇するのかという場面では、有期契約社員の方により条件が緩和されるというのが、日立メディコ事件最高裁判決です。ここでは 「臨時員の雇用関係は、比較的簡易な採用手続で締結された短期的有期契約を前提とするものである以上、雇止めの効力を判断する基準は、いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結しているいわゆる本工を解雇する場合とはおのずから合理的な差異がある」とあり、問題文はこれを指して言っています。 しかし実際の訴訟では、有期契約労働者への整理解雇が無効とされた事案は珍しくありません。有名なところでは三洋パート社員事件大阪地裁判決、丸子警報器・雇止め事件東京高裁判決などがあります。 ですが、とりあえず2.は適切と考えておきましょう。 3.労働者が会社の売上金を横領していたとして、解雇が有効かということですが、 判例上は有効である可能性が高いというべきでしょう。 前橋信用金庫事件、西鉄雜餉自動車営業所事件などがあります。 しかし無効になったケースもあります。 京王電鉄府中営業所事件 東京地裁八王子支部判 大阪冠婚葬祭互助会事件 大阪地方裁判所決定 これら裁判例からすると金銭の着服等事案においては,懲戒解雇処分の重大な影響力に鑑み、刑事処分に準ずる程度の慎重な手続きと事実確認を要すると考えられます。従ってこの種の事案で懲戒解雇が有効になるためには,現に着服(窃盗)行為や不法領得の意思の存在が証拠上明らかであるか又は相当程度の蓋然性が認められることを要し,さらに従業員に十分な弁解の機会を与え,客観的証拠に基づき慎重に確認作業を行ってから解雇処分を決せなければならないといえます。 このような慎重な手続を欠く場合は,懲戒解雇は無効となる可能性が高いと言えます。 ま、これもとりあえず適切と考えましょう。 4.も少しだけチェックしておきましょう。 解雇したが解雇権の濫用とされた場合は、解雇の事実が否定されるので雇用関係が継続されると言えます。その点では適切です。 ただ、ちょっと注意すべきは、有期契約で期間満了で契約も終了と決まっている場合、その途中で解雇して解雇無効となった時に既に期間満了後であった場合、期間満了までの雇用関係はあるとみなされますが、それ以降は既に雇用関係にはないと言えますので、判決時点では雇用関係が終了していることになります。 5.ですが解雇が解雇権の濫用に当たるのか当たらないのかというのは、まず就業規則に規定された解雇事由に該当することが要件とありますが、実はこれ自体もかなり疑問があります。 これだともし就業規則がない場合に(人数がすくないため)それこそ3.のような多額の横領事件が発生した時にも解雇はできないことになりますが、もちろんそんなことはありません。 もちろん就業規則に明記された解雇事由に該当するからと言って解雇が正当とも限りません。就業規則にとんでもない解雇事由、例えば一度の遅刻で解雇するとあったとしてもとても有効とは言えないわけです。 つまり就業規則に明記されていない事由で解雇できる場合は、その行為が悪質で社会通念上許しがたいような性格のものであれば可能であると言えますし、逆に就業規則に明記された解雇事由自体が社会通念上解雇には値しない程度の理由であれば、それを以て解雇することは相当でないと判断されることになります。 つまり5.は適切ではないと判断できます。 基本的にはsugigon2004さんと同意見ですが、適切だと思われる選択肢も一応の疑問も投げかけてみました。そのうえで適切と判断したということで、判例も挙げてみましたので、ご自分でも調べてみてください。
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