問屋を介してもなお、メーカーが小売に行く理由として以下のことが考えられます。 1.販売動向の確認 問屋を介した場合、本当の販売動向が分からない時があります。問屋の見込み発注により、結果的に欠品が生じたり、逆に過剰在庫が生じていて、後に返品されたりあるいは特売品として安く売り捌かれてします。 欠品は機会損失ですし、返品は原料・設備稼働・人件費・保管費・輸送費などの投下資本が回収できなくなります。特売品などの廉価品化はメーカーのブランド価値を傷つけます。 こういったことをなくすためにリアルタイムの販売動向を小売から把握して、無駄な生産・物流をせず、的確な供給でロスを図るものとみられます。 2.価格の確認 現在多くの商品に定価はありません。そのため、店頭での価格動向は直接的にはメーカーは分かりません(POSなどの連動をさせていいれば別ですが)。そのため、店頭価格の確認で、どれぐらいの価格で消費者に届いているのか、それが値ごろ感として妥当なのか、などを把握するとみられます。 同時にこれは、店頭では比較的高く売られてるのに、卸値は安くされている、と問屋のマージンへの牽制ともなります。 3.マーケティング 上記の売れ行きや価格とも関係しますが、どんな商品が売れているのか、自社だけでなく競合他社の売れ筋商品はどんな工夫がしてあってどう消費者に訴求しているのか、あるいは、自社とは全然違う分野での売れ筋やトレンドはどんなことになっているか、そういったことを最前線で知るためにも小売に出向くのはメーカーにとっては大切です。 そして小売業中枢と懇意になることで、小売業者のPB(プライベートブランド)商品開発・受注にも繋がるかもしれないという面もあります。 4.問屋をリスクヘッジとしてだけ利用 GMS、大規模食品スーパー、量販店、CVSなど、大手小売は自分でも物流センターを持ち、メーカー工場から直送で商品を受け取る物流などができてきています。つまり、大手小売がメーカーの直接のお客さんになってきている状態です。 しかし、中堅以下の小売向けには流石にメーカーにとっても煩雑となるため、やっぱり問屋をかませてるのが良いため、依然メーカーにとって問屋は重要なお客さんであることには変わりません。 同時に、問屋を間に噛ませることによって、代金売掛・回収などのリスクを分散させることができるのです。これは大手小売に対してもいっしょです。 だから、帳簿上あるいは物流を含めても、あえて大手向けの商売でも間に問屋を介在させて、リスクヘッジの手段として存続させている面があります。 ただし、この場合、問屋の商圏は確かにあるのですが、大手小売とメーカーの間で販売額や販売数量の決定をしていることが少なくありません。つまり、直売じゃないけれど問屋が差配することなく、マージンは貰うけど事実上問屋をスルーしているだけ、という事態があるのです。 5.効果的な陳列棚の確保 もしかしたら、今はこれが一番大きいかもしれません。 消費者に訴求する最前線は、店頭です。売り場です。そして、陳列棚です。 多数の競合他社がいる中で、いかに陳列棚の一番いいところに陣取れるか。これは重要な競争となります。 そのためには、小売業者の首脳クラスだけと懇意になるのではなく、エリアマネージャーや店長、売り場の責任者や社員、そしてパートのおばちゃんやバイト君に至るまで、しっかり自社を売り込み、好印象を持ってもらうことが必要となります。特にパートさんは侮れません。まずは足繁く通って覚えてもらうことが必要なのです。 場合によっては「お店がご多忙なときは手伝いにも来ますから」と。(逆に小売が要請すると公取に捕まります) 時には、競合他社のも含めて売場作り指導とかも。 こうやって、よく売れる売り場・陳列を確保すべく、大手小売の本社から店舗まで、メーカー営業マンは日参することになるのです。 直売じゃないのにメーカーが小売に営業にいく利用としては、ざくっと言えば、この5点かなと思います。 なお、質問の「本社の物流部と営業はどう関係」ということですが、これは会社によってまちまちです。 物流部が音頭をとって、調達・場内作業・保管・販売まで一貫した管理を行っている(ロジスティクスの完成)会社もあれば、営業に言われるがままトラックの確保に勤しむだけの物流部という会社もあります。千差万別です。
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