新しく雇ったパートさんなんですが、働いて4日目に職場内で荷物を持っていたところ、ぎっくり腰のような状態になり、病院へ行き…

Question

新しく雇ったパートさんなんですが、働いて4日目に職場内で荷物を持っていたところ、ぎっくり腰のような状態になり、病院へ行き、診察を受けると「全治60日 背骨の圧迫骨折」と診断されました。労災の適用は？もちろん労災の適用はあると思いますが、お見舞いに行ったところ、入院はしていなくてギブスもしてなくて普通に歩いたり、しゃがんだりしていたのです。そのパートさんは５３才です。実の娘だと名乗る女性から電話があり、「母は、おたくの会社で仕事中にけがをして働けなくなったのだから、労災の申請をしてほしい」というのです。医師の診断書もあるのですが、疑いたくないのですが、どうも最初から労災目当てではないかと思います。面接の時に、「二か月も仕事がなくて困っている」と言われました。私も一人でがんばっているので、女性一人で大変だろうと思って雇ったのですが・・・。お見舞いに行った際、ご本人は「仕事ができないので辞めさせてほしい」と言って制服を返しました。そのあとに娘さんから電話がかかってきたのです。完治までの60日間は補償すべきでしょうか。じつのところパートさんに労災保険はかけていなかったのです。今からだとどのようにすれば手続きするば良いのでしょうか。

Answer 1

労災保険は個人別に加入するものではありません。
会社が年に一度の申告で労働保険料を払っていれば、全労働者に労災・通災が適用されます。
雇用保険料を引かれていても、「労災保険料」を引かれている人はいないでしょ？
労災保険料は全額会社が払っているのです。

所轄の労働基準監督署で労災の手続きが出来ますよ。
まずは療養の給付請求書(第5号様式)で労災の手続きをします。
この様式は会社(および本人)が記入→病院→監督署の流れになります。
これにより治療費が全額免除されます。

次に、休業補償給付支給請求書(様式第8号)が必要ですかね。
この書類は会社(および本人)が記入→医師の証明→会社が監督署へ持って行って手続き となります。

ちなみに、労災目当てかもしれないとのことですが、労災の手続きを怠れば、会社が｢労災隠し｣でやられますよ。
脊椎や腰椎の圧迫骨折の場合は特にギブスをしない場合が多いですから、あながちウソとも言い切れません。
会社として、労災の手続きだけはきちんと済ませましょう。

Answer 2

労災保険自体に加入していた場合、パートの方にも自動的に保険が適用されるのは、他の方が述べられているとおりです。もちろん、パートの方の保険料自体は、今後の保険料の算定基礎に含めていただく必要はありますが。

ただ、仕事中に発生した負傷は、その全てが労災適用になるわけではありません。簡単に言えば、災害性の要因が必要なのです。例えば、腰痛に関してよくあるのですが、普通に物を持ち上げようとしたときに腰を痛めても、労災の適用はありません。無理な体勢で物を持ち上げようとしたとか、持ち上げようとしたものが予想外に重くて腰が抜けたなどの突発的な事情が必要で、これを災害性の要因と言います。

なぜこのような取り扱いになっているかと言いますと、労災保険はあくまで事業主補償の代替であり、例えばもともと心臓に持病のある労働者が仕事中にたまたま心筋梗塞を起こして倒れた場合に、事業主に補償責任を負わせることは酷ですので、労災保険も適用されないわけです。物を普通に持ち上げて腰を痛める人も普通はいないんです。もしそのような状況で腰を痛めた人がいれば、それは個体的要因であり、事業主には補償責任はないということです。

今回、詳しい状況はわかりませんが、荷物を普通に持っていたときに突然腰が痛んだのであれば、災害性の要因がないことから、労災の適用はありません。今回圧迫骨折であれば、通常何らかの災害性の要因があったのかとも思われますが、極端な話、骨粗しょう症を持病として持っていた人が災害性の要因なく圧迫骨折を発症したのであれば、労災の適用にならないことはもちろんです。

ご質問の文面のような災害発生状況を請求書に書けば、間違いなく労働基準監督署から災害発生状況の確認が入ります。その後、本人、医者からの聞き取りなどの調査の結果「荷物を持っていたことと圧迫骨折との因果関係なし」と判断されれば、労災保険は不支給になります。ただ、その場合いろいろ無駄な手間がかかりますので、請求をされる前に、監督署に相談されてみてはいかがでしょうか。労災が適用される可能性があれば、そのときに手続きの方法を確認されるとよいです。労災の適用が難しいような話があれば、ご本人から監督署に電話してもらえば納得すると思います。そうなれば、当然労災隠しの問題も生じないわけです。（厳密には、労災隠しとは労災の請求をしないことではなく、労働基準監督署に対して必要な報告を行わないことを言うのですが。）