私は美容師をしています。今働いている店から１KMも離れていないところに独立して店を構えようかと考えています。顧客情報の持…

Question

私は美容師をしています。今働いている店から１KMも離れていないところに独立して店を構えようかと考えています。顧客情報の持ち出しさえしなければ問題ないとは思うのですが、訴えられたりしませんか？顧客情報の持ち出しは法律に違反するのは知っています、つまりカルテや住所等持ち出す気はもうとうありませんがお客様にどうつたえたらいいのか？こちらから住所聞き出すのも法に触れるような気もするし、お店にお客様がいらしたときに、どうアプローチしたらいいでしょうか？私としては、たくさんのお客様にきていただきたい気持ちもあります。
また、独立を考えていないときに会社から誓約書にサインさせられました、内容は会社の承諾なしに，１０ヶ月，独立したり敵対店舗に移るなついうものです。これに反すると，退職金全額違約金として払ったり、保証人「つまり親ですね」とともに賠償請求されることがかいてありました。弁護士さんに相談する前に知っている方いたら教えてください

Answer 1

誓約書に「独立、敵対店舗に移籍をした場合は、退職金全額を違約金として支払う」とういう条文は、「退職金全額」と違約金「額」を定めていますので、労働基準法１６条に違反し、その部分は無効となる可能性が非常に高いと思います。無効になれば、保証人も損害賠償金を支払う必要はありません。

独立や敵対（競合）店舗への移籍を制限する誓約書等が有効とされるには、①対象者を会社における地位などで限定しているか。②競合禁止の目的（営業秘密を保護するためなど。単に競争するのを避けるといった理由では×）。③禁止する競合の内容や地域を限定しているか、またその範囲。④競合禁止期間の長さ。⑤代替措置（例、割増退職金、在職中に転職禁止手当）の有無、その内容。①～⑤を総合的に勘案して、有効か無効かを判断します。

一昔前は、競合他社への転職禁止を定めた誓約書等を有効とし、退職金の不支給や減額を認めた判例（三晃社事件、福井新聞社事件）がありました。しかし、最近の判例（ソフトウエア開発・ソリトン技研事件）では、対象者や転職禁止期間などを限定していない、代替措置がないような場合は、誓約書等が無効であるとされる傾向にあります。あなたがサインした誓約書には期間は限定されていますが、その他の項目に限定がなければ、有効とされる可能性は低いでしょうね。

※違約金の部分は、額を定めていれば無効ですので、退職金を違約金として取ることができず、今の店が賠償金を取ろうとするのなら裁判をするしかありません。

顧客名簿の持ち出しをしないみたいなので、顧客名簿等の営業秘密に関する法律的な話は省略します。

お客さんには、「○月で店をやめます」とだけ伝えればいいと思います。その時お客さんから「なぜ辞めるの？」と聞かれたら、「○○に店を構え、独立することになりました」とだけ伝えればいいと思います。今の店の経営者としては、納得いかないでしょうが、お客さんに聞かれたから答えただけで、この程度なら法的な問題ありません。そのお客さんが、今の店かあなたが独立した店を選ぶからお客さん次第ですが、あなたに魅力があれば自分で店舗を探してでもついてきてくれるのではないでしょうか。

まぁ、お客さんが誰もいない状態での独立は不安ですから、あなたの今いるお客さんを連れていきたいという気持ちも分かります。しかし、経営者になれば分かると思いますが、経営者からすれば自身の金を投入しつづけ集めてきたお客さんですから、簡単にお客さんを持っていかれたくないのですよね。だから、こういった誓約書を書かせるんですね。

まぁ、独立して店を経営するなら、新規でお客さんを集めてやるという気概が欲しいところですが、そんなことは言っていられないですよね。

経営の大原則として、店の利益は、お客さんにサービスを買ってもらった時しか生じません。お客さんに買ってもらうためには、お客さんを集め続けなければなりません。これからは、美容技術だけでなく、経営に関する勉強もしてください。健闘を祈っています。