妻が勤務先の雇用主に性的関係を強要されています。

Question

妻が勤務先の雇用主に性的関係を強要されています。妻は某社交ダンス教室でインストラクターをしています。
今年から妻は、自分が指導主任となって生徒を持てる（生徒数に応じて報酬が上がる）ポストに就けた、と話していました。

生徒数も少しずつ増えて報酬も上がってきているのに、最近妻の表情が冴えず、思い詰めたような素振りも見られます。
思い切って問い詰めたところ、教室のオーナーから性的関係を強要されている、とのことでした。

主任インストラクターに昇格した直後のこと、その日のレッスンが全て終わり、最後に一人で教室の後片付けも終えて帰宅しようとしていた時に、教室のオーナーが訪れました。
事務所内で二人きりで最初はレッスンの話を普通にしていたそうですが、急に
「このまま引き続き主任でいたいのなら、性行為をさせろ」
と言い寄られたそうです。
もちろん妻は拒否したようですが、強引に腕力でねじ伏せられ、強姦されました。

行為が終わってから、口止め料の意味でまとまった金額を渡されたようです。
妻はそれを受け取ってしまいました。

その時だけことで済むのなら、口止め料も受け取ってしまったことだし、このまま主任インストラクターのポストにいられるのなら強姦のことは忘れようと思ったようです。

しかしまた、レッスンが終わった頃を見計らって時々オーナーが現れ、事務所内のソファーで性行為を強要するのだそうです。
さすがに耐えきれなくなり、その教室は辞めようと思っている、とのことでした。

警察に、強姦被害とパワハラ被害を訴えるのですが、以下の疑問点があります。

①最初の強姦直後に金銭を妻が受け取ってしまっている事実があるので、強姦が合意の上での行為だったと取られる可能性があるのではないでしょうか。

②その後の継続的な性行為の強要も、結局パワハラに屈して妻が受け入れてしまっているので、強姦そのものに当たらないとされませんでしょうか？

③教室を辞めざるを得ない事に対して、オーナーに損害賠償を請求する事が出来るのでしょうか。
（逆にオーナー側から、契約期間途中での退職は違反だと言われないでしょうか）

以上、宜しくお願い致します。

Answer 1

①．強姦罪は強制性交罪と名が改められ、親告罪で無くなりました。被害者が訴え出なくても警察は立件できるようになったのです。

②．本件は当然犯罪です。被害者の意志に逆らって性交したのですから。

③．口止め料を受け取ったことは、「示談」と理解される可能性はあるでしょう。しかし、彼我の力関係から受取を拒否すれば失職する恐れがあるので、その場を繕うため受け取ったと言えます。

④．勇気を出して警察に訴え出ましょう。口止め料を受け取ったことについて、「示談に応じた」との見解を警察が示しても、強く否定すべきです。
．．口止め料を出したことは、悪いことをした自覚があってからです。

⑤．契約期間中であっても、正当な理由があれば退職は法的に認められます。

⑥．逆に、このため退職せざるを得なくなったとして、その損害賠償も求めるべきでしょう。

⑦．親告罪では無くなったのですが、犯罪の特殊性から被害者の人権（個人情報）を尊重すべきとされています。

⑧．なお、「強制性交罪」は、暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫（他は省略）です。
．．また、強姦の手段としての暴行又は脅迫の存在が必要です。判例によれば、強姦罪の暴行・脅迫については「相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであれば足りる」として、強盗罪の場合のような、相手方の反抗を不能にする程度までの暴行・脅迫でなくともよいとしています。現在の判例・解釈の主流は、この判決を基本にしています。
⑨．なお、警察に訴え出ると社長に告げたら、高額（３００万円前後）の示談金を提示し、取り下げるよう懇願されるかも知れません。