複数の銀行が合併するメリット それは、大きく分けて三つあると言えます。 まず一つ目のメリットは、「規模の経済性」です。 これはどういうことかと言うと、一般的に企業の生産高や売上高などは、その規模が大きくなればなるほど、商品単位あたりの製造コスト・販売コストなどを低く抑えることができるようになります。 その結果として、自ずと生産性が上がっていきます。 銀行の場合には、銀行が取り扱う資金量が大きくなればなるほど、固定費(人件費・設備費など)を相対的に低く抑えることができるようになり、結果的に生産性を上げることができるということです。 特に銀行の特徴として、目に見える商品を販売する企業ではありませんから、提供するサービスの規模が増大しても、他業種の企業に比べて、固定的な費用の比率が比較的高いという特徴があります。 従って、複数の銀行が合併することにより、この「規模の経済性」の恩恵を受けやすい業種であると言うことです。 次に二つ目のメリットは、「範囲の経済性」と言うことです。 これは、複数の財産をそれぞれ別々の業種で生産する際に生じる総費用よりも、一つの企業が複数の財産を大きく一つにまとめて生産する方が、その総費用が低いコストで抑えられるといことです。 つまり銀行では、一つの金融機関が二つ以上の金融サービスを生産すれば、複数の金融機関が同じ金融サービスを生産するよりも、投入する資源が節約されると言うことです。 例えば、顧客から集めた預金を銀行が運用したり、企業に貸し付けたりして、利益を作ろうとする場合、当然おおもとの「資本(顧客からの預金)」が大きい方が、様々な運用方法を行ったり、複数の企業に貸し付けたりして、大胆な経営が可能となります。 また銀行ですから、貸し付けたお金が焦げ付くリスクもありますが、資本が大きければ、銀行の経営にそれほどの影響が生じないということになります。 そして三つ目のメリットは、「コスト削減効果」ということです。 具体的には、経費の削減、人件費総額の圧縮など、経営資源の合理化を行うことで、効率化を追求することができるということです。 つまり合併を行うことで、重複する企業の機能や拠点(支店)、人員を整理することによって「コスト削減効果」が生まれるということです。 銀行の合併の問題点 まず、銀行の合併により、採算が取れない支店を閉鎖する可能性が出てくるということです。 例えば、A銀行とB銀行が同じ地区でC支店・D支店を出していた場合、合併によって同じ地区に二つの支店は必要がなくなり、当然一つの支店に統合されることになります。 二つの支店が隣接している場合には、問題がないのですが、やや遠距離に位置するときには、片方の支店が廃止されることになり、その支店を今まで利用していた人にとっては、不便な状態に陥ってしまいます。 また、地方銀行が合併によってその絶対数が減った場合、地方の企業・個人経営者にとっては、選択肢が減ることになるわけですから、運転資金等が今までよりも借りにくくなり、経営を圧迫する恐れも出てきます。 また、ある意味で寡占状態になるわけですから、複数の銀行が競争していたときよりも、顧客に対するサービスが低下することも考えられます。 さらに、地方銀行の合併によって、地元の信用金庫や信用組合なども、地方銀行の合併にならって統合・合併の動きが出てくるかもしれません。 そうなれば、地方の中小、零細企業にも大きな影響が出てくることでしょう。
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