自衛隊内の警察。警務隊について質問です。 警務隊の仕事内容などを具体的に教えてください。 あと、警務隊に入る…

Question

自衛隊内の警察。警務隊について質問です。

警務隊の仕事内容などを具体的に教えてください。

あと、警務隊に入るにはどのようにすればいいですか？
一般の自衛隊の試験でいいのですか？最後に警務隊の車両には、赤色灯がついていますが、緊急走行はどのような場合にするのですか？

回答お願いします。

Answer 1

自衛隊の警務隊を構成する『警務官』というのは、法律上で『自衛隊における、自衛隊のよる、自衛隊の為の(特別)司法警察官』です。つまり自衛隊内で警察活動が許されている職種の事です。簡単にいえば、自衛官の制服を着た警察官ということです。

なぜ、自衛隊内部だけ通常警察だけではなく警務官が必要なのかというと、自衛隊というのは軍事組織であり国家機密をたくさん扱う組織です。また、自衛隊の行動は世界に影響を与える可能性も常にはらんでいます。その為に通常警察が自衛隊に干渉してしまうと、内政どころか外交にも影響を及ぼしてしまい、且つどの情報が機密でどれが機密でないのかは警察には判断できず、捜査の過程で重要な情報を外部に漏らしてしまうという可能性もある為に、警察とは別個の警察組織が必要だったのです。

それ以外にも、自衛官自身が火器取扱者であることが前提であるという理由もあります。取り扱う火器の豊富さは警察の比ではありませんし、警察官も民間人と比べれば高度な逮捕術・捜査技術等を有していますが、自衛官はそれに加えて高度な戦闘訓練を受けています。いくら警察のエリートでも自衛官がひとたび本気で凶悪犯罪を企てたならば、安全な捜査活動が行えないのは目に見えています。ですから、自衛官による警察官が必要なのです。

いわゆる国際常識としての『憲兵』にあたる存在ですが、日本の場合は過去の反省も兼ねて憲兵とは違い、その保有する警察権は自衛隊内部でしか行使することができず、自衛官以外の人間(国民)に対して警察権・捜査権を行使することはできません(民間人が自衛隊施設内部で犯罪行為を行った場合は、例外として一部警察権行使の対象となります)。ちなみに“過去の反省”とは、旧日本軍に存在した憲兵のことで、彼らは基本的にその権力を国民に対して行使し、国家に少しでも仇なす民間人がいると分かれば、躊躇なく弾圧をしていました。いわゆる『秘密警察』として恐れられていた存在だったのです。この反省から日本は、本来軍や自衛隊というのは『国民を守る為に』存在していなければいかず、決して国民を抑圧する存在になってはいけないという理由で、自衛隊には自衛隊内部でしか警察権等を行使することができない警務官が設置されたのです。

基本的な職務は、上述の通り自衛隊内部での刑事犯罪捜査や防犯活動が主です。我々国民がイベント等で会えるのは『基地警務隊』と言われる部隊で、もちろん各基地内の刑事犯罪を捜査したり、基地の警備をしています。彼らは、屈強なる自衛官を取り締まる存在ですので、それ以上に屈強である必要があり、また基本的には『仲間を疑う』のが仕事なので自衛官以上の精神力が必要となります。

自衛官としての業務と、警察官としての業務を同時に行えなければいけないので、なるには『三等陸曹、三等海曹又は三等空曹』以上の階級が必要で、プラス警察官としての知識・技術が必要です。つまり自衛隊入隊試験とは別に内部試験を受けることになります。警務官と言えど、その行動には『自衛隊法』だけでなく『警察官職務執行法』はもちろんのこと、場合によって『海上保安庁法』が適用されるので、ただただ自衛隊の訓練だけをしているだけではなれません。イメージとしては部隊に配属されて警務官となるのではなく、警務官になることを目指して鍛錬を積み、警務官となってから各警務隊に配属されるといった感覚です。つまり、他の職種・部隊と違って警務官に興味もなく素養も無ければ、一生配属されることはありません。

職務の内容で警察官と違うのは、容疑者の逮捕後は事後捜査はせず、即警察に引き渡すか検察庁に送致することになります。これは、自衛隊内部に容疑者を拘束するための『営倉(拘置所・懲罰房のこと)』等施設が無い為です。また軍法会議所もありませんので、通常の裁判所で裁判が行われるために完全に秘匿することはできません。

警務隊が保有する『緊急車両』ですが、これは警察のパトカー等と大差ありません。例えば自衛隊の基地でも立地によっては周辺地域に施設が点在している場合があり、警務隊本部から緊急にそれらの自衛隊施設に行かなければいけない時などに公道で緊急走行することがあります。ただ、基本的には基地内での捜査活動が主なので、基地内で緊急走行する事のほうが多いかもしれません。

また、特例にはなりますが災害派遣の時は、いくら緊急事態でも災害派遣隊の車両は公道では緊急走行ができないために、警務隊のパトカーに先導してもらうことがあります。これは道路交通法上、警察の緊急車両と自衛隊の緊急車両に誘導されている自動車は同じく『緊急車両』とみなされるからです。また、派遣先で他の部隊が活動中に拠点を守らなければいけませんからね、どんな時でも自衛隊の部隊が大規模に移動する場合は、警務隊もついていくことが多々です。