解決済み
国家公務員法は、職員の身分保障を定めていますが、制度上、民営化による組織の改廃が行われた場合には、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」(国家公務員法78条4号)として、例外的に分限免職が可能です。ご質問にある「リストラ」はこの場合を指すものとして回答させていただきますが、結論から申しますと、多数のイレギュラーな要因が重なった社会保険庁の廃止による525名の整理免職を除けば、1964年以降は同号による国家公務員の整理免職が行われたことはありません。 例えば、郵政公社(職員には国家公務員の身分を与えられていた)の民営化や国立大学の法人化、各省庁の機関の独立行政法人化の際にも、職員の雇用は新法人に承継されることが法律上明記されており、リストラは行われておりません。 通常、国の組織の廃止・縮小の際には、国全体の取り組みで、内閣に国家公務員雇用調整本部を設置し、省庁間での配置転換によって分限免職を回避することとなります。民営化時に発生する余剰人員についても、省庁間配置転換が行われます。既に回答されているとおり、食糧庁の廃止や林野庁の縮小、北海道開発庁の統廃合の際には、この仕組みが機能して他府省への配置転換が行われ、整理免職された者は誰一人として発生しませんでした。 ○社保庁廃止時の例外について ただし、社会保険庁が廃止された際には、年金記録の改ざんや覗き見問題に対する国民的な批判が強く、懲戒処分歴のある職員は一律、日本年金機構の職員として採用しないとの閣議決定がされてしまいました。 不採用職員については、厚労省は雇用調整本部による省庁間配置転換の仕組みを活用させてもらうことができず(厚労大臣から2度要請するも拒否されています。)、厚労省独自の取り組みとして、厚労省本省への配置転換(1284名)を行ったほか、各省庁や自治体に職員の受け入れを要請しています。しかし、国全体の取り組みでないため、受け入れを表明した機関はほとんどありませんでした(自治体での受け入れはゼロ)。 なお、この時に社保庁職員を受け入れた省庁としては、金融庁(1名)、公正取引委員会(8名)がありましたが、金融庁は「30歳前後の係長クラス」、公取委は「対象年齢は20歳代後半から40歳代半ばまで」との条件を設けており、若手職員以外には採用のチャンスはありませんでした。全国国民健康保険協会も社保庁職員の受け入れを行いましたが、採用者は20~30代の若手が中心でした。その他、官民交流センターにおいても民間企業の斡旋等が行われたようですが、建設会社やあまり待遇の良くない企業が多く、独立行政法人や特殊法人等の公務職場の再就職先はほぼ皆無だったようです。 このような経緯を経て、525名が分限免職され、免職を免れた者でも150名以上が厚生局の非常勤職員にしか採用してもらえないという事態が発生しました。 ○国鉄の分割・民営化について 国鉄は特殊法人(公共企業体)であり、職員は非公務員でした。 分割・民営化の際には、多額の赤字を抱えていたことや国鉄最大の労働組合であった国労への弾圧の流れもあり、社保庁廃止時と同様、約30万人の職員を一旦全員解雇し、JRに選別再採用させる方針がとられました。これによってJRに移籍できない余剰人員が約4万人生じ、雇用問題となりました。国鉄職員は公共事業体職員で団結権・団体行動権が保障されており、強力な労働組合を有していたため、労働闘争を通じて政治への働きかけを行い、手厚い雇用対策がなされました。当時の厚労大臣も「1人として解雇者を出さない」よう国会で要請を行っています。政府の基本方針では、4万人の余剰人員のうち民間就職を希望する1万人を除いた3万人について公務部門で受け入れることとされ、国の省庁において一定数の受け入れを法的義務とし、自治体や特殊法人においても受け入れを努力義務とする特別立法(日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法)が制定されました。 これにより、国鉄職員は様々な省庁・自治体や特殊法人に分散していきましたが、同法による再就職支援の対象は55歳以下の職員に限定されており(同法施行規則1条1号)、やはり若年者が優先されたようです。最終的には、国労に属して最後までJR当局と対立を続けた組合員1047名が解雇されています。 なお、同じく特殊法人(非公務員)であった電電公社の民営化については、民営化時の整理解雇は行われていませんが、民営化後は、50歳以上の社員を再雇用という方法で子会社に吸収し、社員の下降移動を進めることでリストラを行っており、11万人がその対象になっています。 最後になりますが、国家公務員の場合には、配置転換の受け入れ先も広く、民営化によるリストラは起きにくいとは思います。 しかし、地方公務員については、近年、市町村の企業局や病院などの民営化により、市町村職員が整理免職される事例はそれほど珍しくありません。毎年度、総務省自治行政局公務員部が公表する「地方公務員の分限処分者数に関する調」では、組織改廃による整理免職者が年平均550人(平成20~26年度)発生している事実が公表されていますが、ほとんどは一部事務組合の設立に伴う免職か、民営化(指定管理者制度による事業委託や自治体事業そのものの民間会社への譲渡も含む。)による過員の免職によるもので、年々増加傾向にあります。 国家公務員についても今後の運用次第という側面がありますので、ご質問者様の不安を解消するためには、職員組合の力が強い機関(税関や農政局、森林管理局等)を選ぶのも一つの方法かもしれませんね。 私は元公務員ですが、雇用の権利は法律が守ってくれるものではなく、自分で守るものという意識が公務員でも民間同様に重要だと感じることがありました。 食糧庁・林野庁と社保庁で結果の明暗を分けたのは、職員組合の政治的影響力だという認識は省庁職員の間でも共通しています。(全農林労働組合は非常に強い組合であり、政府に対して様々な働きかけを行ったため。) いずれにせよ良い就職先に出会えるといいですね。応援しています。
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官庁民営化に伴うリストラ 直近でいえば社会保険庁から年金機構への移行がそれにあたるでしょうか・・ 社会保険庁廃止時の職員数が1万2566人 このうち、2009年12月28日までに機構に採用された者は1万0069人(うち正規職員9499人、准職員570人)、 厚生労働省等に配置換えとなった職員は1293人 1159人は2009年末をもって「離職」。 離職者内訳 勧奨退職 631人 自己都合退職者 2人 分限免職 525人 一応多くのものが機構へスライドしていますが 斡旋・再雇用支援などはあったのでしょうか個々の希望にかなう形にはなっておらず離職となった人も少なくないと聞きます。 後民営化ではありませんが農林水産省や北海道開発庁の地方機関縮小のため5年間に2908人【計画時の人数で実際の人数は誤差があるかも】の配置転換も実施されています。 この時は各省庁、地方自治体、独立行政法人など省庁を超えた配転も実施されています。 但し身近な地域で募集がなく、遠く離れた地でしか募集がない、希望する職種がないなど条件が合わず離職された方もそれなりにいるとのことです。
従来の例はあった人もなかった人もいたのではないでしょうか。 また、形だけの再雇用支援というのは官民問わずしばしばあります。 そんなのはやってられないと、自分で選ばせた体裁に仕立て上げるのが目的です。 年齢についてはわかりませんが、どのような人かについては「再出発する企業にとって不要の人材」とひとくくりにできるのではないでしょうか。 「養育中の子どもがいる方は考慮する」等、いろいろな理由はつきますが、人事の本質は有用かつ必要かどうかです。 近年、官僚は知ってか知らずか、関係者の一部が破滅するしかないような救いのない制度設計をすることが増えてきました。 可能な限り、良い選択肢をつかむことができるといいですね。 ご参考までに。
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