Mr.ダンディーカミヤウォー様 先日はご回答有難う御座いました。 再度、仕事に関してご質問させて頂きます。 …

Question

Mr.ダンディーカミヤウォー様
先日はご回答有難う御座いました。

再度、仕事に関してご質問させて頂きます。

新たな仕事というのはテーラー、つまりビスポークスーツの仕立て職人です。経緯について事細かにはこの場でお伝えすることはできないのですが、知り合いの方の紹介で働かせて頂くことになりました。

貴方の仰る通り、物を作る人間は誤魔化しがきかない。まさにその通りで、全く誤魔化しがきかないです。自分がやったこと全てが露わに出てしまいます。
自分のヘボさが嫌でもわかってしまいます。泣
なんという難しい仕事なんだと身を以て感じました。
それと師匠は鬼のように厳しい人です！
怖いです！泣

今はただ不安なまま仕事に励むしかありません。本当に貴方の仰る通りでした。

カミヤウォー様は勿論スーツ大好きですよね？
好きな生地やブランド・スタイル等ありますか？
勝手ながら想像では英国系がお好きなのかなと思っております。
サスペンダースでトラウザーズを吊っている姿が頭に浮かびます。

お時間ある時にでもご回答宜しくお願い申し上げます。

Answer 1

そうなのかよ（笑）。
まあ、確かに思い切った転職だよなぁ。
厳しいけど、非常に遣り甲斐のあるいい仕事じゃないか。がんばれよな。
私の好きな生地なんて、もう手に入らないものばかりだよ。
例えばツイードの最高峰ハリス・ツイードなんて、相当苦労して５０年代の生地を手に入れてオーバーコートを作ったしなぁ。
フォックス･フランネルだって、５着のスーツを作ったけどもう今は無いじゃない。
ちょっと前にギリシャが経済的に破滅して、結構な量の昔の生地が市場に出てきたんだ。バイヤーが殺し合うくらいに争って買い付けていたからな。
ギリシャはヨーロッパの観光地として定番だったから。要は金持ちがバカンスに行って、そこで好きなように生地を選んで仕立てていたんだよ。
それが軒並み潰れたんで、店の在庫が大量に出てきた、ということなんだな。
もう二度と手に入らない、昔の上質な生地があったんだよ。
イギリスはいい生地が作られることで有名だったけど、フォックスなんかもそうだよな。でもほとんどみんな潰れた。今はイタリアの生地だけだ。
ブランドは今は圧倒的にブリオーニよな。あれを越えるブランドは無いだろう。
ある程度の生地は今でもキトンやゼニアという問屋が持っているよ。だけど問題は縫製なんだよな。
生地を織る工場が少なくなった以上に、腕のいい縫製職人がいねぇ。ある程度の腕前があると、みんなどこかのブランドが押さえている。
君の入ったところがどういうものかは知らないけど、そこで修行しながら君はだからいい縫製とはどういうものかを独自に研究して行かなければならないことは確かだよ。
ミシンでガリガリ繋げるだけじゃダメなんだよ。いい縫製というのは、生地の質と客の体型とを考えながら、それを融合するテンションデで縫っていくことが必要だから。
ブリオーニは型がいいことはまずあるよ。だけど腕のいい職人が確かにいる。
まあ、スーツで１００万円からだからな（笑）。金を貯めて購入して、それをバラしながら研究することだ（笑）。
もうちょっと現実的に手に入るのは、ルイジ・ボレッリだな。シャツの最高峰だよ。
例えば今でも１００番手の生地なんかはあるんだよ。だけどみんな弱いよな。スーツなんかでは余程の扱いの腕がないとダメ。
シャツでも難しいよ。
ルイジ・ボレッリは今でも低速の織機を使って織っている。だから丈夫でしなやかな生地が実現できているんだ。
ネクタイなんかも、だから非常に肌触りがいい。発色もいいよな。
シルエットなんかは、まあ昔は英国だのイタリアン・クラシコだのって言ってたわけだけど、今はブランドだよな。
ああ、デヴィッド・スーシェ主演のテレビドラマシリーズの『名探偵エルキュール・ポワロ』を観ておけ。あれは最高級の服が数多く出て来るからなぁ。特にもちろんポワロの服よな。