そうです。コピー機のない時代は、コピーさえしませんでした。だから、お茶くみだけ。部署全員の湯飲みと、熱さ・濃さの好みを覚えなければなりません。だれかの出張のお土産のお菓子を配る(羊羹だったら、それぞれの分の切る厚さを把握する)のも、彼女らの重要な任務でした。 刑事ドラマ『太陽にほえろ』(日本テレビ)=1972ー86=では、お茶くみ役として、歴代、クミ、チャコ、アッコ、ナーコが登場しました。お茶くみの「チャ」コ、「クミ」と、安直なネーミングですね。 2代目チャコは、浅野 ゆう子(1960-)が演じたのですが、当時、浅野はまだ中学生だったため、「中学生が警察署で働いているのはおかしい」と視聴者からクレームが入り、降板しました。 ハリウッド映画『ブラック・レイン』(1989)で、移送中の松田優作を取り逃がしてしまったマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアが、大阪府警庁舎内で、職員のオバハンに盛んに茶を勧められ、「コーヒーはないのか?」とキレるシーンがあります。 短大・専門学校卒で、「一般職」として採用され、寿退社を前提としていたので、昇進・昇給は考慮されていません。婚期を逃すと「お局様」として、仕事も指導力も十分な収入もないのに、会社にしがみ付くのです。 松竹映画『男はつらいよ』第一作(1969)で、さくらこと倍賞千恵子が、「丸の内の一流企業」で、今のデスクトップパソコンより大掛かりな「計算機」を、手慣れた様子で操作しているシーンがあります。当時のOLにも、そういう専門職のような人材はいたのでしょう。 日本語ワープロ黎明期は、OLの嗜みとしてワープロ検定がもてはやされ、キーボードアレルギーのおっさん上司が作った企画書の下書きを、「清書」したりの業務もありました。 男女雇用機会均等法の施行(1986)で、「総合職」として採用される女性が増え、「四年制大卒」女性の活躍の場が広がりました。それまで、女子学生の就職は、短大・専門学校卒に有利、四大卒に不利な時代が続いていました。 現在、日本の短大、専門学校は、医療分野など資格取得を目指す専攻を除いて、壊滅的になっています。同時に、企業は、従来、短大・専門学校卒に担わせていた「一般職」業務をアウトソーシング化し、派遣社員が担うようになりました。「ニワトリが先かタマゴが先か」という様相です。 お茶くみ、コピー要員だったころのOLは、優秀な男性社員の結婚相手候補であり、無能な男性社員にとっても、憧れの「仕事を頑張る元気の素(要するにズリネタ)」であり、スケベな上司のセクハラ・セフレ対象であるという、社内の重要なミッションを帯びており、そのために給料が支払われていたのです。
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