マンション管理士の問題についてです。

Question

マンション管理士の問題についてです。甲マンション管理組合の理事会（令和3年4月開催）において、会計担当理事が行った令和2年度決算（令和2年4月1日から令和3年3月31日まで）に関する次の説明のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、前払金、未払金及び前受金とする。

1 .令和3年3月に組合員Aから令和3年4月分の管理費2万円が入金されたため、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産が2万円増加しています。

仕訳
令和3年3月(令和2年度):現金預金2万円/前受金2万円
令和3年4月(令和3年度):前受金2万円/管理費2万円
つまり、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産が2万円増加していないので適切ではありません。

2 .令和3年3月に行った修繕工事に係る費用8万円については令和3年4月に支払ったため、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産の増減には影響がありません。
仕訳

令和3年3月(令和2年度):修繕費8万円/未払金8万円
令和3年4月(令和3年度):未払金8万円/現金預金8万円
つまり、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産は減少しているので適切ではありません。

3 .令和3年3月に令和3年4月分も含めた2ヵ月分のリース料6万円（月3万円）を支払ったため、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産が3万円減少しています。
仕訳

令和3年3月(令和2年度)①:リース料3万円/現金預金3万円
令和3年3月(令和2年度)➁:前払金3万円/現金預金3万円
令和3年4月(令和3年度):リース料3万円/前払金3万円

つまり、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産が3万円減少しているので適切です。

4 .令和元年度決算の貸借対照表に計上されていた管理費の未収金7万円のうち、4万円が令和3年3月に入金されたため、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産が4万円増加しています。
仕訳
令和3年3月(令和2年度):現金預金4万円/未収金4万円
つまり、令和2年度決算の貸借対照表の正味財産が4万円増加していないので適切ではありません。

というそれぞれの回答で、仕訳の方法については理解しているのですが、正味財産の増減の意味が理解できません。
例えば解答の
1.の仕訳だと、令和２年度で現金2万円借方で資産が増加していると思うのですが、正味財産が増加していないという意味がちょっと良く分かりません。
また、回答3.の場合令和２年度で現金合計で6万円貸方で資産が減少しているので正味財産が減少しているという理屈なら納得するのですが
それぞれ何が違うのか理解できません。

詳しい方ご教授お願いいたします。

Answer 1

正味財産は、資産-負債 です

資産は、現物(ここでは現金)と貸したお金(未収金、前払金)で、
負債は、借りたお金(未払金、前受金)です

資産が増えても、負債が同額分増えると(借金みたいな場合)、正味財産は増加も減少もしません

正味財産が増減する場合は、資産、負債の増加と、費用、収益の増加とがセットになります
収益は、貸付に伴う受取利息などで、たぶん管理組合では考えなくていいんじゃないかなと思います
費用は、だいたい○○費みたいに「費」が付きますが、付くとは限りません

選択肢を見ていきます
ただし、期末の仕訳だけ見て下さい

1 は、費用収益が出てこない(資産と負債がセットになってる)ので、正味財産は増減なしです
2 は、資産の増減と負債の減増がセットになる仕訳ではないので、正味財産の増減があります

3 は、2と同じく正味財産の増減がありますが、こちらは増か減かを判断しないといけません
資産-負債 の式に則ると、資産が減ってるので、正味財産は減少します

4 は、資産の増加と負債の増加がセットの仕訳(費用、収益が出てこない)なので、正味財産は増減ありません

Answer 2

その仕分けが賃借対照表に記載される資産/負債なのか、損益計算書に記載される経費なのかの違いを意識することが必要です。

https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/oyakudachi/kanjokamoku/

正味財産というのは、要は賃借対照表における純資産だと思って良いでしょう。
賃借対照表の中の貸借で完結していれば資産は増えないし、経費が発生すれば資産を減らして経費を計上するので資産の量が減少します。

1.の仕分けだと、前受金は負債のジャンルであって、現金と負債が同額増えただけなので資産の総額に変動はないです。
（借金して現金を増やしても「資産が増えた」とは言わない、という考え方です。）

3の仕分けも、3月の3万円分は経費が増えて資産が減っていますが、4月分の3万円は前払金「という資産の増加」と現金「という資産の減少」でどちらも資産内でのプラマイゼロです。