解決済み
司法試験の予備試験平成23年度の「死体損壊罪」の処理について質問があります。 夫である甲は、妻である乙の死体を損壊する目的で、家へ放火していますが、その時点で実は乙は死んでいないのだから、死体損壊罪は成立しないと、どの答案にも書かれております。 しかし、甲の放火により、生存していた妻乙は死亡し、結果として乙の死体が損傷したわけですから、 ウェーバーの概括的故意、つまり危険の現実化説の立場から、死体損壊罪が成立するようにも思えるのですが、 この点、私の考えのどこが誤っているのでしょうか。 ご教授頂けると幸いでございます。
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なんとなく言いたいことはわからないでもないです。 要するに、乙が一酸化炭素中毒で死んだ後に、その死体は甲が放った火によって燃えて損壊されたのだから、「甲が放火した→乙の死体が損壊した」という事実がある以上、客観的構成要件を満たすではないか、ということでしょうか。 ①乙が死んだ ↗ 甲が放火した →→→→→→→ ②乙の死体が損壊した 面白い着眼点だと思います。 実務家としての直感としては、「ない」と感じます。 たとえば、甲が、乙がまだ生きていることを認識したうえで乙を焼殺した場合でも、理屈上は、死亡後にさらにその炎によって死体が損壊しますし、甲には死体が損壊することの認識・認容もありそうな気がしますが、そのようなケースで死体損壊罪の成否が論じられることはありません (東京高裁H17.3.29や名古屋地裁H14.2.21。後者では、焼死体をさらに切断等したことについては死体損壊罪が成立しています) ただ、なんで「ない」のかは、正直うまく言語化できず申し訳ありません… 甲の行為の違法性は①で評価され尽くしているから、というような気もしますが、①と②では保護法益も違うし本当かそれ?という気もいたします。 言語化できない・理屈で説明できないということは、実はそういう考えも成り立ちうるということなのかもしれません。 明快な答えでなくてすみませんが、余裕があれば、ぜひ教授とかに聞いて議論してみてください。 (…正直、全然重要ではない部分で、趣味のレベルだと思いますし、予備や司法試験を受けていく上ではこういう細かい部分にあまりとらわれすぎない方がいいです。でも、せっかく法律をやるのであればたまにはこういうことを頭をひねりながら考える機会もあったほうが面白いし、法律が好きになれるのではないかと思います。)
ウェーバーの概括的故意は、第一行為と第二行為があって、第二行為に故意がない場合の問題ですよね。ご指摘の設問は、放火という一つの行為が問題になっていて、その行為の着手時点で、対象が死体ではない以上、死体損壊罪の実行行為性に欠け、その時点で検討終了、それ以降の因果関係、故意という分析は無意味、ということではないかと思います。行為後に死体になったとしても、放火という行為は既に終わっていますので、その時点で死体損壊罪の実行行為を認めることができない、ということだと思います(たしかに当初の放火と後の死体損壊には因果関係がありますが、そもそも死体損壊の実行行為がない)。 なを、危険の現実化というのは因果関係における考え方で、故意論における考え方ではないと思ったのですが、違うのでしょうか?
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