解決済み
司法書士試験過去問についてご教示ください。【平成20年 第14問】 教授: 抵当権者が抵当不動産の占有者に対し抵当不動産の明渡請求をしたにもかかわらず,その占有者が理由なくこれに応じないで違法に占有を継続する場合,判例は,抵当権者はその占有者に対し賃料額相当の損害賠償金の支払を請求することができるとしていますか。 学生:エ 抵当権者は,抵当不動産を自ら使用することはできないから,抵当権者は抵当不動産の占有者に対し賃料額相当の損害賠償金の支払を請求することができないとしています。 → 〇 抵当権者は,抵当目的物の所有者ではありませんから,そもそも賃料を請求できる立場にはありません。したがって,抵当権者の明渡し請求に対して占有者が応じずに違法に占有を継続する場合でも,抵当権者に賃料額相当の損害が生じているとはいえず,賃料額相当の損害賠償金の支払を請求することはできません(最判平17.3.10)。 抵当権者は損害賠償金に物上代位できるから×!と思ったら○でした… なぜ物上代位の対象とならないのでしょうか? 教えてください。 よろしくお願いいたします。
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物上代位は、目的物(抵当不動産)の「売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」に抵当権の効力を及ぼすものです(民法350条、304条)。本問の占有者は、抵当不動産を買ったとも借りたとも消滅させたとも損傷させたともされていません。したがって、これらに「よって債務者が受けるべき金銭その他の物」がないから、物上代位権の行使ができません。 また、本問と異なり本件占有者が抵当権設定者からの賃借人であったとしても、この場合に物上代位により抵当権の効力が及ぶのはその「賃料債権」であって、賃料相当額の損害金ではありません。
不法占有者は、抵当不動産の所有権を侵害しているので、所有者(抵当権設定者)であれば、所有権に基づく妨害排除請求以外に、逸失利益としての賃料相当額を損害と評価して、不法行為に基づく損害賠償請求(709条)ができます。 抵当権は、非占有担保物権であるため、平時はその実態(実力)がありません。保証人との契約と同様に債務不履行(有事)なった時に、はじめて抵当権の実行や物上代位が可能となり、抵当不動産を競売にかけて優先的に弁済を受けることができる。 債務不履行までは、いざ競売の時に少しでも高く売れるように、抵当不動産の交換価値を監視しているだけで、被担保債権に付き従う性質を有する。 債務不履行までは、債権者としては「支払って」、抵当権者としては「邪魔だから出て行って」としか言えない。旧民法では、不法占有者を追い出すために、設定者の所有権に基づく物権的請求権を借りる形でなければ何もできなかった時代があった。 抵当権の侵害とは、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となる状況を意味するので、抵当権者が抵当権に基づく妨害排除請求により取得することができる占有は、抵当不動産を適切に維持管理することを目的とするものであって、抵当不動産の使用及びその使用による利益の取得を目的とするものではない。 したがって、抵当権者は、抵当不動産に対する不法占有により賃料額相当の損害を被るものではない。
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