現在大学四年生で医療機器商社に内定を頂いた者です。

Question

現在大学四年生で医療機器商社に内定を頂いた者です。医療機器商社に勤めている方に質問です。
実際に勤めて辛いこと、楽しいことを教えて頂きたいです。

Answer 1

「辛いこと」が先に書かれていますよね？ なぜ？

私は社会に出て一貫して医療機器業界で商社（当時国内最大手）、以後はメーカーも経験し、先月末に定年退職となりました。私は常に最新の医療技術を知ることが出来て楽しかったですね。
以下は商社時代の印象をランダムに。。

・商社であれば各メーカーの製品を扱いますから、常に最新の医療機器を実際に見たりカタログで確認できる
・医療機関に製品を納期までに納めなければ治療に支障を来しますので、自分たちが貢献していることが実感できる。納品した後のことを考えること。
・扱い品は「物」ですが、結局は「人」と会話して成り立ちますので、
メーカーの方々、医療機関の方々との様々な情報交換・会話で人脈ができ、
新たな知識を得ることが出来る
・日本の医療行政の実態・病院経営の実態が判る・・そこにどのように貢献するかを考える
・医療機器商社は扱い品が様々で、装置・器具・消耗品など数多くの商品を覚える必要がある・・病院によって様々
・メンテナンス・修理部門では、病院で装置の点検をすることが多いが、診療後の時間や休診日でなければ出来ないことは常識的範疇の認識
・隣県病院から手術中に病院スタッフのミスにより用具不足がわかり、緊急手配の依頼が入り、都内からでは交通渋滞で遅くなるので、警視庁に電話してパトカー先導を依頼して納品したなど・・使命感
・競争入札で落札させる・・特に公的医療機関では物品購入は公開入札です

さて、ここからは独り言です。
高齢化が継続する中で、医療費を含む社会保障費の抑制圧力が強く、病院数も減少が続いており、今後、医療機器卸業界はさらに厳しい競争環境におかれるものと思います。
昔は病院が「倒産」ということはほぼありませんでした。
いわゆるお世継ぎがいないので止めます がほとんどでした。
しかし今は診療報酬（収入）低減策との関係から病院経営は苦しい状況です。
経営＝資金繰りに行き詰まり のパターンが増えています。
そこには消費税の影響もあるのです。
業者からの仕入れには消費税が付く、しかし治療をして国に請求して入金になる際には消費税が付いてこない状態が長く続きました。
5％・8％になり医師会も国に対して陳情嘆願し、ようやく認められましたが、
全額ではないのです。

また消費税以前に、昔は病院が治療に使ったものは全額を国に請求できましたが、医療費の高騰により国策として「この病気の治療は○○円まで」となり、
全額の入金ではなくなりました・・・「丸め」と言われます。

厚生労働省は、2016年9月30日に、「医療機器の流通改善に関する懇談会」（議題「医療機器のコード化に関する取組」、「医療機器流通の更なる改善に向けた取組について」）を2011年以来5年ぶりに開催して医療機器流通の改善に向けた取組を協議しましたが、業者数の多さが問題となりました。
医薬品卸業界は編成が進み４大グループで市場の約50％を占めますが、
医療機器卸業界もリーマンショック以降に地方の業者が経営難になり、
大手、及び外資系が中心になり再編が進みましたが、上位5グループでも市場の20％程度です。
この業界の特徴の一つではありますが、各地方の医療機器業者とその地区の病院の長年の信頼関係が硬いのですね。いずれ更に再編は進むことでしょう。

あと医療機器商社で問題になっているのが、一つの病院で使用する医療資材の全てを商社が人を派遣して入出庫・在庫管理して、病院で使用した分のみ請求するという「SPD」システムですね・・・1社で取り囲み。

病院にとっては在庫管理の一切を商社に委託するわけですから、人員も過剰在庫も不要で、しかもSPDの採用時には商社側も今までよりも安い値段で納入する条件となりますので、病院側にとっては使用分も従来より安くなるのでメリットは大きいですね。
しかし逆に商社側は人員派遣・管理費用・低価格納入・予備在庫の資金負担ということで、ハッキリ言ってあまりメリットがありません。
唯一、大きな病院と契約すれば全ての納入品は自社でできますので、スケールメリットはありますが薄利多売の世界ですね。
SPDを採用した商社は、それ以降会社全体の利益率は低下しているはずです。

などなど、まだまだ書きたいことはありますが、この辺で。。

どうか優秀な医療機器商社の「人」になってください！