雁屋哲氏-彼らは全て東京大学法学部出身で自分たちが日本を動かしているという強烈な自負を抱いていた。たかが漫画原作者の私の眼からしても彼らの知的な劣弱さは恐るべき物だった。当然読んでいるはずの書物の話をしても通じない。読んでいないのだ。特別な本ではない。トーマス・マンとかアルベール・カミュとか唐詩選とかもし彼らが外国の官僚と話をする場合に当然の常識として話に出る書物を読んでいないのである。彼らは財務省のなかで決まり切った仕事をこなすことにかけては大変に優秀なのだろうがそれまで出会ったことのないことに対処する能力は絶対的に欠けていた。それは基本的な教養に欠けているからである。彼らと話していて絶望的になったのは日本という国全体の進路ではなく自民党支配の政府の政策についてのことしか語れないと言うことだった。余りに歴史的なこと哲学的なこと人文的なことそのような事に対して無知であるこれでは官僚として同じような地位にある外国の官僚に対したときに話が通じないだろう馬鹿にされるだろうと危惧したのである。しかし欧米の本当の知識人というのは凄いものであって深い学識と論理の立て方に秀でている。欧米の官僚の頭に当たる人間の勉強の度合いは東京大学法学部の比ではない。私は数ヵ月前に東京大学教養学部で講演をした。そのあとに文科系の学生が私に「先生僕たち文化系の人間もちゃんと勉強しています」というので何を勉強しているんだと尋ねたら「司法試験とか公務員試験の勉強です」と言ったので私はあきれてその学生に「試験勉強は本当の意味の勉強ではないんだよ。資格を取るための勉強は勉強と言えない。勉強というのはもっと人間のあり方を追及する深いものでなければならないんだ」と答えた。その学生は分かっったのか分からなかったのか多分分からなかったのだろう「はあ・・・」と答えて私の前から引き下がった。 過去質必見
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