不動産の売買契約の場合、売主(債務者)は不動産の引渡と登記の移転という2つの債務を負っています。この両方を履行して初めて、「売買契約の売主としての債務が履行された」ことになります。 そして、債務者の帰責事由によらないで、債務者の履行が不能になった場合が534条の危険負担の問題です。なので、まだ履行義務が残っている場合、つまり、引渡または登記のいずれかが履行されてない段階では、危険負担は問題になりえます。逆から言えば、「履行前に」というのは、「引渡または登記の移転の前に(どちらかが未履行の時)」ということですね。 例えば、売主Aと買主Bとの間で、A所有の建物をBに売り渡す契約が成立したとします。契約内容は、引渡が1月27日、登記移転は2月1日、代金は登記移転と同時に支払うことになっていたとします(危険負担に関する特約はなし)。しかし、引渡がなされた後の1月30日に、落雷で建物が焼失したとします。このとき、Aの登記移転義務は客観的に履行が不能となりますが、Aに帰責事由はありませんから、債務不履行責任は生じません。Aの登記移転債務は消滅し、あとは、反対債務であるBの代金債務が存続するかどうか・・・という危険負担の問題になります。 ↓ 債権者主義を形式的に適用する立場はもちろん、制限的に適用する立場でも、引渡が終了していますから、危険は買主Bが負担する=代金債務は存続する・・・という結論になるでしょう。
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