高圧ガス製造施設の保安距離について質問します。 今度、車の駐車場を新設する計画をしてるのですが、駐車場予定地に隣接して…

Question

高圧ガス製造施設の保安距離について質問します。
今度、車の駐車場を新設する計画をしてるのですが、駐車場予定地に隣接して液化酸素の貯槽タンクが設置されてあります、高圧ガス製造事業所と記されているので、保安距離が関係してくるのでは、ないかと思い質問しました。

補足

駐車場は第一種保安物件にも第二種保安物件にも記されてはいないのですが、エンジンを始動させる際に火花、要するに火気が関係するのではないでしょうか。

Answer 1

お疲れ様です。ミスター高圧ガスと申します。
ご質問の件については、以下の通り順に解説します。

高圧ガス保安法において、貯蔵設備等からの一定の距離を確保する際のその距離を「保安距離（設備距離、置場距離等の総称）」と呼んでいます。ご質問は、液化酸素の貯蔵設備（タンク）から駐車場まで、この保安距離が必要ではないかという相談かと思います。

対象物が液化酸素ですので、この保安距離に絡む規定としては一般高圧ガス保安規則第６条第１項第２号に以下のような規定があります。
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【一般則第６条第１項】
二 製造施設は、その貯蔵設備及び処理設備の外面から、第一種保安物件に対し第一種設備距離以上、第二種保安物件に対し第二種設備距離以上の距離を有すること。
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ここで液化酸素のタンクは上記貯蔵設備に該当しますので、「第一種保安物件 → 第一種設備距離」、「第二種保安物件 → 第二種設備距離」の確保が要求されています。
ここでいう「第一種保安物件」及び「第二種保安物件」とは主に以下のようなものを指しています。

【第一種保安物件】
小学校、中学校、高校、高等専門学校（いわゆる「高専」）、特別支援学校、幼稚園、ベッド数が２０以上の病院、老人ホーム、重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡名勝天然記念物、法により重要美術品として認められた建築物、博物館、１日２万人以上の乗降客のある駅の母屋・プラットホーム、デパート、公衆浴場、ホテル等

【第二種保安物件】
第一種保安物件以外の建築物で、住居の用に供するもの（民家、アパート、マンション）

以上を見ても「駐車場」は、第一種保安物件にも第二種保安物件にも該当しないので、一般則第６条第１項第２号に規定する「第一種設備距離」や「第二種設備距離」を液化酸素の貯槽の外面から確保することは不要と解することが出来ます。これが結論です。

なお、第一種設備距離や第二種設備距離の確保が必要な保安物件が液化酸素の周辺に建設された場合には、液化酸素の貯蔵設備（タンク）の外面から必要な距離は、最大で第一種設備距離→２０ｍ、第二種設備距離→１３．３４ｍとなります。
ちなみにこの距離は、液化酸素の貯槽（タンク）の貯蔵能力から算出することになっています。

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【補足に対する回答】
高圧ガス保安法の基本通達（正式には「高圧ガス保安法及び関係政省令の運用及び解釈について（内規）といいます」中の「（２）一般高圧ガス保安規則の運用及び解釈について」の「第６条関係」の「３．」に「第１項第３号中 ｢火気を取り扱う施設｣ とは、事業所内外の蒸発器、ボイラー、ストーブ、喫煙室等通常定置されて使用されるものをいい、たばこの火、自動車のエンジンの火花は含まれないが、これらは、「火気」に含まれる」とあります。
ご質問者の方の言われるように、自動車のエンジンの火花は「火気」とされています。

しかしながら、これは、一般則第６条第１項第３号の規定、つまり「可燃性ガスの製造設備（可燃性ガスの通る部分に限る。）は、その外面から火気（中略）を取り扱う施設に対し８メートル以上の距離を有し、・・・（以下省略）」に対しての解釈です。あくまでも起点は「①製造設備のうち可燃性ガスの徹部分の外面」から「②火気を取り扱う施設」までとなっているので、「酸素」は①にあたらず、また「自動車のエンジンの火花」は②にも該当しないため、一般則第６条第１項第３号の規定はかからないことになります。

以上のことから、液化酸素の貯槽を含む酸素の通る高圧ガスの設備から、駐車場までの一定の距離を確保する規定は存在しないことになります。