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新卒を採用するメリットについて。 ・安い労働力(かつ従順な雑用係)が手に入る ・上手くいけば成長して次期上長候補…

新卒を採用するメリットについて。 ・安い労働力(かつ従順な雑用係)が手に入る ・上手くいけば成長して次期上長候補となる ・若者をオフィスに配置することで活気を持たせる・対外的に「新卒採用をする余裕のある会社」であることをアピールできる 上記以外に何かありますか?

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    元採用担当のおぢさんです。なんとなくお尋ねになりたいことはわかりますので想うところだけ書きますが、あなたと議論するつもりがないことを最初に書いておきます。(←ここでは質問[自分の疑問]に見せかけて、議論したいだけの人が偶におられますのでご不快に感じられたらすみません)それと、少し長くなることもお断りしておきます。 先に、書かれていることについていくつか定義づけと修正提案しますね。 >新卒を採用するメリットについて。 これは、大学・専門・高校等の新卒者を正規雇用(正社員)として一括採用する目的(狙い)という意味で解釈しました。 「安い労働力(かつ従順な雑用係)が手に入る」 失礼ながら、これは誤解があるのかなと思います。正規雇用は非正規と違って、採用費・研修費・福利厚生費(退職金含む)等が必要となります。また、賃金も昇給していく上に、半年ごとに賞与があります。ですから、正規は非正規の3倍人件費がかかると言われています。だからこそ、非正規(契約・派遣・パート等)が増え続けて社会問題になっています。とくに雑用(=誰でもできる判断不要の仕事)と言われる仕事を正社員はするなというのが平成の後半からは当たり前の流れですね。 「上手くいけば成長して次期上長候補となる」 管理職や経営陣(幹部)の候補として採用していることは間違いありません。ただ、昨今では実力者がヘッドハンティングされて登用されることも珍しくありませんね。やりすぎると、社員のモチベが下がるので要注意なのですが、新規事業などで全く社内ノウハウがないことなどであれば致し方ないという感じになります。 「若者をオフィスに配置することで活気を持たせる」 まぁ、これは付加価値みたいなものですね。インターンシップでも、新鮮な風が入ってきたようだと表現する人もいます。そして、これも諸刃の剣だったりします。短期離職でもされたら部署内の空気が悪くなりますし、教える側のモチベが大幅に下がります。ですから、新人が辞めないように管理職は腐心せざるを得ないわけです。 「対外的に「新卒採用をする余裕のある会社」であることをアピールできる」 これはいわゆる「与信」への影響について仰っているのだと思いますが、あまり関係ないのかなと思います。新入社員を紹介かたがら連れてこられると、確かに「新人さん頑張ってね」とは思いますが、それで相手企業への評価が上がるわけではありません。逆に言えば、取引をする際に業績を調べることはありますが、いちいち新卒採用をやっているかどうかなど普通は調べないかなと思います。 さて、やっと私の考える「新卒採用の最大のメリット」ですが、それは日本式採用においてはこれがもっともコスパに優れていると考えられているということでしょうか。後述しますが、世界的にみても殆どの国ではやっていない特殊な採用法なので、あくまでも日本においての話です。 ①採用選考費の低減 ②研修費の低減 コスパ的に言えば、この2つですね。 一般の方が思っておられるよりも、採用選考には相当なコストが掛かります。日本の場合は簡単に解雇できませんから、生産性が低い人であっても一度雇ってしまうと定年まで居続ける可能性があります。そうなると、2億円以上の買い物ですから、中間管理職では絶対に決裁できません。だから、最後は経営者か経営陣(幹部)が確認をする仕組みになります。この偉い人たちの予定をおさえて面接してもらうのが高コストなんですね。簡単に解雇できるのならば、中間管理職に採用させて、仕事ができる人だけを残せるのですが、日本ではそれができないということなのです。ですから、できるだけ一度に大勢に来ていただいて、歯医者さんのように順番待ち~流れ作業で終わらせたいわけです。 また、日本の中途採用市場では即戦力が求められます。それは、導入研修費をうかせるためです。逆に言えば、日本の新卒は何も知らない・できないが前提で入社してきますので、マナーから教えなければなりません。だからこそ、4月1日に全員が集まって式典参加し、その後学校のように研修するのがもっとも効率的だったりするわけです。毎年一人採用するかしないかの規模であれば問題ないのかもしれませんが、毎年大勢を採用する規模の会社が研修をいろんな時期に一人ずつやっていたら、膨大な費用がかかります。だから、欧米では長期インターンシップなどで即戦力と言えるレベルになってから採用するスタイルが定着しているとも言えます。(これは、前述のように「使い物にならなければ、即解雇することが可能」が大前提となっています) そして、コスパ以外でのメリットと言うか、同制度の必要性もあります。それは、日本の大企業で給与体系を健全に維持するためだったりします。日本の給与体系は、これまた諸外国の年俸制等とは異なって、能力給・職能給・年齢給(+実質賞与)など複雑怪奇に多段階積算されるという仕組みです。不思議と同期で仕事ができるかどうかで僅かな差がつくのは容認される傾向にあります。また、後輩に追い抜かされるのも楽しい話ではありませんが、当該社員の実績を目の当たりにしていますので受け入れざるを得ないのです。 ただ、突如として入ってきた中途採用が、同じ歳なのに僅かでも給料が高いと人事にクレームが入ったりします。さりとて、時流や職歴・スキルに合わせて条件提示しなければ優秀人材は採れなかったりしますのでそうなるのですが、新入社員として入った人からすれば「自社での経験が、他社経験に劣るのはおかしい」となるわけです。ですから、大手は可能な限り新卒採用で年齢ごとの階層形成をすることで、それらの不満を低減させたいという話になります。これには、役職者の年齢バランスを維持するという意味もあります。 最後に、何で日本式採用ができたかという経緯だけ簡単に書きますね。 戦後、豊かでなかった地方から都市部に大勢が集団就職(中・高卒)をしてきました。当時は製造業・建設土木業が半端ない勢いで伸びていましたので、いくらでも人手は必要でしたし、田舎で農家を継ぐことすらできない三男・四男などはこぞって街に出ていったわけです。いずれも現場仕事ですから、一斉に軍隊チックな統率を図れるように育てるのが理想的でした。だから、日本では「新卒一括採用がローコストでコスパが良い」という思想が根付いたと言えます。全産業で労働人口の半数以上がサービス業に従事している現代日本でこのスタイルが最も良いかどうかは常に議論されているわけですが、前述の通りこれを崩すためには企業側の解雇権をゆるくしなければ難しいと言えます。また、大学生を始めとする若者側の新卒カード信奉も変化する必要があると言えます。 長くなりましたが、これでも途中かなり端折っており、乱暴な言い回しも出てきます。よって、言葉足らずで誤解を生むかもしれませんが、その際はご容赦ください。

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