インボイス制度についてこんな記事見つけた。 参考にすべし。 ↓ 「インボイス」はやっぱりダメだった…! 民間コスト急上昇のウラで税収アップ しかし日本に「メリットなし」というヤバすぎる現実 10/30(月) 7:03配信 現代ビジネス 民間を叩いて「税収アップ」 2023年10月からインボイス制度が導入された。 この是非はかねて議論が百出しているが、どんなメリットがあるのか私見を示しておきたい。 結論から言えば、日本全体にメリットはなく、むしろ民間に徴税協力コストが大きく、国が少しの税収増を得るだけという「金勘定の視点」の抜けた制度だと言える。 財政学では、税は効率、公平、簡素でなけれならないとする。 簡素とは、政府の徴税のための行政コストと徴税に協力する民間のコストの両方を足したものが低くあるべきということである。 これを踏まえて、まずはインボイス制度の内容から見ていこう。 インボイス制度の導入により、仕入れ時に払った消費税額を売上にかかる消費税額から差し引く「仕入れ税額控除」を受けることができる。しかし、インボイスは課税事業者でなければ発行できない。売上1000万円未満の消費税免税事業者は、控除を受けられない。 多くの識者は、付加価値に課税するという消費税の仕組みから言って、「仕入れ税額控除」は当然のことであり、かつ、消費税を導入にしている国ではほとんどでインボイスを導入していることなどからこの制度に賛成している。 しかし、インボイス制度の導入によって、どれだけのコストがかかり、それによってどれだけ税収が増加するかという本質的な議論はあまり見ない。 キツイ…!民間企業は4兆円の「コスト増」 税収増については、財務省が国会において増収見込み額は2480億円、161万社が課税事業者に転換するだろうと答えている(第198回国会 財務金融委員会 第3号(平成31年2月26日)。 では、この増収を得るための政府と民間のコストはいくらだろうか。 まず、政府は民間のインボイス処理後の税務申告書をチェックするだけだから、コストはかからない。 民間はどうだろうか。 不思議なことに、これに関する試算はほとんどないようである。 私がやっと見つけた試算によると、インボイスの請求書支払処理が15分増加し、経費精算処理が5分増加し、日本全国で月あたり約1.4億時間の業務負担増になり、毎月約3413億円の人件費負担になるという。 3413億円は月のコストだから、年間では4兆956億円かかることになる。 (上記は、「税収の16倍以上のコスト! 年2480億円のために年4兆956億円の「インボイス対応コスト」発生の可能性【LayerX調べ】」を参照した) なおここで1枚当たりの処理時間から全体の処理時間を計算するには、宮本勝浩「請求書の電子化による経済効果」(『現代社会と会計』第15号、2021年 3月)の請求書発行枚数の推計値を用いている。 これが正しいのかどうか私にはよく分からないが、会計事務所の方々に聞いてみると、手作業でやればそのぐらいかかかる、慣れれば短くなるが、その半分ぐらいはかかるだろう、とのことである。 もちろん機械でやればそんなにはかからない。しかし、10分の1にはならないのではないかとのことだった。 すると年間で4兆円ではなくても4000憶円はかかるということである。零細業者であれば手作業ですることになるので、それなりの時間コストはかかるだろう。 実際に、会計事務所では、インボイスで仕事が増え、インボイス残業が発生しているとのことである。 日本全体で見ると「デメリット」になった…! 事業者にとってはコストだが、会計事務所にとっては売上だから、日本全体で考えればこれはこれで構わないのではないかという考えもあるだろう。しかし、そうとはならないようだ。 まず、インボイス処理費用はほとんどの事業者に課せられるものだから、費用は価格に転嫁できるだろう。 であれば、たしかに最終的に名目GDPは上昇するが、そこには落とし穴がある。なぜなら、その分価格は上がっているのだから、実質GDPは増加しないのである。 原油価格の上昇で物価が上がり、名目GDPが上がっても実質GDPは上がらないのと同じ理屈である。 2480億円の税収増に対して、4000億円程度の民間の徴税コストの増加があると、民間にとっては合計の6480億円の負担となる。 民間は踏んだり蹴ったりであり、日本全体にとってもうまみなどない。 もちろん、この試算には、異論があるかもしれない。 しかし、私が不思議に思うことは、ある政策を採用する時にこの国ではそれにいくらのコストがかかるのかという金勘定の議論をしないことなのだ。 さらに後編記事『「年収106万円」問題の解決が「家庭の貧困」を救う…! インボイスで見えた! カネの計算が苦手な政府の「落とし穴」、そのヤバすぎる中身』では、弊害の例をさらに詳しく見ていこう。 原田 泰 (名古屋商科大学ビジネススクール教授 元日本銀行政策委員会審議委員) https://news.yahoo.co.jp/articles/f0f4a58889cccf62a44fbd2edbbd06c1d90ae86b 和牛子牛せり インボイス導入で農家への影響は 10/28(土) 11:20配信 日本農業新聞 経過措置で現状では限定的 費税のインボイス(適格請求書)制度が和牛子牛価格の下落に拍車をかけないかと、関係者が注視している 。インボイスを発行できない小規模繁殖農家の牛を買うと、肥育農家の税負担は増加。経過措置で増加幅はまだ小さいが、価格下落や買い控えの可能性があるためだ。制度開始後にせりを開いた家畜市場を取材した。 13日、群馬県の渋川家畜市場。電光掲示板には、子牛の血統や日齢の表示と並んで「インボイス」の項目が加わった。 インボイスを発行できる農家の子牛かどうかを見分けられるようにするためだ。 農産物はJAに販売を委託する場合に農家のインボイス発行が不要となる特例がある。 子牛のせり取引はこの特例の対象外。課税事業者が多い肥育農家はインボイスがないと仕入税額控除ができず、税負担が増える。 だが、せりに参加した長野県の農家は「経過措置がある間は、気にせず買う」と話し、インボイスを発行できない農家の牛を購入した。 経過措置は、免税事業者からの仕入れでも、制度開始から3年間は8割、その後の3年間は5割を仕入税額控除ができる特例だ。 例えば、免税事業者の繁殖農家から税抜50万円の子牛を買うと、本来は消費税分の5万円が控除できず、肥育農家の負担となる。一方、26年9月末までは1万円、29年9月末までは2万5000円の負担増で済む。 同日の平均価格は53万5672円で、前月より1%上げた。 運営するJA全農ぐんまによると、600万円超の値が付いた雌牛が押し上げたためで、実際の相場は下落傾向が続く。だが、肥育農家の生産コスト高騰や枝肉相場の低迷などが主因で、経過措置もあるため、インボイスの影響は「今回は、ほぼなかったのでは」とみる。 経過措置終了後に不安 他の家畜市場も、現時点で影響は小さいとみている。 鹿児島県・徳之島中央家畜市場で3、4日に開かれたせりは、出品牛594頭中、インボイスを発行できない農家の牛が324頭。平均価格は45万8678円で、前月より9%下がった。 だが、運営するJAあまみによると、発行できない農家の子牛だけが大きく下がったわけではなかった。 5日にせりを開いた鳥取県・鳥取中央家畜市場も同様の見方だ。平均価格は前月より10%安い51万6533円となったが、インボイス発行の可否による差はみられなかったという。 運営するJA全農とっとりは、税負担増を抑える経過措置のためだとみる。 ただ、両市場からは、インボイスを発行できない農家の子牛について「入札の勢いが弱かった」との指摘もあった。 一方、平均価格が前月より1割超下がった市場の担当者は、価格下落は他の要因が大きいとしつつ、「多少は影響したかもしれない」とみる。インボイスを発行できない農家の牛が、出品頭数の2割を占めたという。 インボイスを意識して買う肥育農家もいる。鹿児島県のある農家は今月、インボイスを発行できる農家の牛を優先して買い付けた。 「(インボイスを発行できる・できない)子牛が混ざると経理が複雑になる」ためだ。 ただ、「最優先は牛の状態」。優れた子牛はインボイスを発行できなくても買ったという。 経過措置の終了後には影響が表面化するとの見方もある。 群馬県内の肥育農家は「(税抜き50万円の子牛を買って)1万円の差なら気にしないが、2万5000円、5万円の差となると気にせざるを得ない」と話す。 <メモ> 免税事業者は発行できず 10月から、消費税を納める際、仕入れ目的で支払った消費税額を差し引く「仕入税額控除」にインボイスが必要となった。年間売上高が1000万円以下の「免税事業者」は、消費税を納める「課税事業者」にならないと、インボイスを発行できない。 https://news.yahoo.co.jp/articles/34a42c851453d217ac6acbf4a65bdce5676cbc77
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