溶接のための電気アークの高熱により、TIG溶接トーチの先端電極、そして溶接される母材(炭素鋼やステンレス鋼など鉄鋼、あるいはアルミ合金)が酸化されるのを防ぐためです。そのために大気を遮断する目的で、不活性なアルゴンやヘリウムガスでシールドするのです。 溶けた鉄鋼は大気中の酸素と反応して酸化してしまいますが、アルゴンガスとは反応しないのです・・・アルゴンの語源には”なにもしない、怠け者”もある と見た記憶。またティグ電極は主にタングステンでできていて、電球のフィラメントに使われるように高温に耐えますが、大気中ではすぐに酸化してボロボロになります。電球内は真空ですが、真空の代わりに不活性なアルゴンガスで保護しています。 母材がステンレス鋼の場合、成分のクロムは非常に酸化しやすく、アルゴンで溶融表面を保護しないと黒っぽい酸化物で覆われてしまいます。もちろん、内部にできる溶接”裏波”の表面の保護にもアルゴンシールドは必要です。先ご回答者さんは、裏波保護のバックシールドのことを指摘されてみえるのですね。 炭化クロムはステンレス鋼中の微量炭素とメイン成分のクロムが”溶接熱により”反応して形成されたものです。シールドとは無関係です。304鋼などオーステナイト系ステンレス鋼の溶接で最も問題になる欠陥で、腐食原因になります。
TIG溶接はTungsten Inert Gas 溶接(タングステン イナート ガス 溶接)の頭文字のT・I・Gを取った溶接法です。 タングステンは電極に使う金属の名前でありイナートガスは他のものと反応しない不活性と呼ばれるガスのことですが、一般的に使われるのはヘリウムガスかアルゴンガスです。 同じような名前の付け方にMIG溶接(Metal Inert ガス 溶接)というアルミの溶接法があり、普通の金属の電極すなわち溶接ワイヤを電極にしますが、イナートガスを使いますからTIGと同じくヘリウムやアルゴンを使用します。 ご質問に書かれた「アルゴンやヘリウムを使うのは何故か」は高熱で溶融した金属はアッという間に空気中の酸素に反応して酸化金属になり欠陥金属になるからです。 おそらくご質問の真意は「炭酸ガスでも半自動アークができるのに・・」だと思いますが、炭酸ガスアークや混合ガスアークはイナートガスの純アルゴンやヘリウムは使用しませんが、ワイヤの中にシリコンやマンガンを入れており、ガスから溶融金属の中に溶け込んだ酸素と化合させて外部に吸い出すからできる溶接法です。 こちらは酸素が混じった活性ガスのActive Gasの名前からMAG溶接と呼びます。 TIG溶接はワイヤを使わないので、酸化防止の為のシリコンやマンガンによる細工ができないから不活性ガスを使います。 なおワイヤでは無いけど溶加棒を使うでは無いかと思われるでしょうが、溶加棒は溶融金属の中に直接流し込むのでガス化せず、また何らかの方法でガス化したら不純ガスに敏感なタングステンが酸化して消耗するからです。
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