満州国にあった大同学院大学は、しばしば満州国の高等教育機関として紹介されています。しかし、その実態は本によって、①日本の…

Question

満州国にあった大同学院大学は、しばしば満州国の高等教育機関として紹介されています。しかし、その実態は本によって、①日本の帝国大学や満州の建国大学のような、一般の大学であるが、満州国の官吏が数多く留学した②現在の気象大学校のような、旧制中等学校卒を対象にした大学教育も行う官吏養成所③現在の税務大学校のような高級官吏を相手にした研修期間、と紹介されている内容がバラバラです。実際大同学院はどのような教育機関だったのでしょうか？

Answer 1

公的文書がソースじゃないのでどれが真相かっていう答えにならなくてすまんが
※中国の書物「百年沧桑话长春」宋伟宏著にわりと細かい記述があって信憑性が高そうなので以下に引用翻訳してみます。

大同学院は1932年7月1日、満州国建国後第一号の高等教育機関として新京の南岭に開学。本校は満洲国の高級官吏養成を目的とする特殊な教育機関で、ほとんどの学生は日本人であった。

メインとなる本館は満州国営繕科よる設計で1937年に竣工。建設面積は31,581平方メートル、建設費は155万元、塔のある赤煉瓦造の2階建て建物でした。設立当初の大同学院の校舎(授業棟)は同じ南陵にあった旧東北軍第3砲兵大隊の営舎と敷地を転用し、一期生の学生はここで授業を受け、二期生は寛城の長春第二中学校の校舎を使用しました。1937年に南嶺に新校舎が完成した後は、全ての機能が南嶺に集約されました。(注釈：南嶺は現在の南関区、寛城は寛城区)

時は遡り満州事変後、満州国建国を画策する関東軍は「自治運動」つまり満洲を統治する為政者を育成する運動を強化します。1931年11月10日に「自治指導部」が発足し、奉天大学西門にあった同澤女子中学校を利用して1932年1月11日「高等官的自治指導訓練所」を開設。発足当初は満人学生20人、日本人学生12人でした。

建国直後の1932年3月15日に発足した資政局により、「自治指導訓練所 」は「資政局訓練所」と名を改めました。訓練所はより本格的な為政者育成機関へと拡大させるために、関東軍は参謀本部の花谷正ら数名を同年4月下旬に東京と京都へ派遣し、80人の大卒者を採用し満洲に赴任。並行し学校の敷地は奉天から新京南嶺の東北軍第3大隊の新しい校舎に移されました。6月20日、資政局は廃止。

7月1日、満州国中央政府職員を育成するための唯一の教育訓練機関として、国務院総務庁直轄の大同学院が設立されました。初代学長は総務庁長官の駒井徳三が兼任しました。
当初第一学部には日満の大卒者を採用するために設置され、翌年から満系中堅官吏のための第二学部も設置されました。学制は三部で構成され、第一学部は基礎から実務までの1年間、第二学部は実務教育を半年間。第三学部(未設置)は、修了しても採用されなかった推奨職員を再教育するために設立される予定でした。

学院のカリキュラムは以下の3カテゴリ
1、建国精神、道徳理論、国防理論、民族理論、東アジア文化史、経済、言語学など
2、軍事教練、ス ポーツ、フェンシング、乗馬など
3、管理実習(インターンシップ)と社会視察

1937年、井上忠好博士が専任の学長に任命され就任。1938年10月、大同学院は国務総理大臣直属の高級官吏養成機関となり、「国と民衆に奉仕する人材を育成する」という理念のもと拡大を続けます。

1942年には大同学院研究所と改称。終戦時には19の学部と2か所のキャンパスを有し、開校以来のべ4000人人材満洲政府に送り出しました。それらの半数以上が公務員に任命され、その多くが省庁職員に任命されたほか、長官や次官クラス、市長などの公職も輩出しています。

終戦後は1946年10月に国民党によって国立長春大学に統合されました。1954年にこの場所は長春汽車学校となり、1958年に吉林理工大学に改名しました。
現在は吉林大学の南嶺キャンパスになっていますが、大同学院本館だった建物は2000年に解体され、新しい教育施設棟が建てられました。

以上引用翻訳おわり

これだけ細部にわたる記述なので信頼できるのではないかと思います。

つまり

①一般の大学ではない(第一学部の採用資格が大卒者)

②大学教育は行わない(同上)

③現役官吏を相手にした研修期間ではある(第二学部)

といったかんじですかね