ネガキャンというのは一部の関係者の方や個人の方の見方だと思いますが,きっかけとなったメーカーとして考えられるのは「初田製作所(HATSUTA)」でしょうか。 実際のところ,各メーカーが蓄圧式消火器の生産メインにシフトしたのは,大阪で長い間駐車場の雨の浴びるところに野ざらし放置されていた加圧式粉末消火器を小学生がいたずらで操作したところ,劣化した容器本体が急激な加圧による圧力変化に耐えられずに破裂して小学生の頭部を直撃し重傷を負い一時は命の危険にまで晒された事故が発端となっています。それまでも,粉末消火器で主に採用されている加圧式や化学泡消火器に採用されている反応式といった操作時に急激な圧力変化により破裂する事故が発生はしていました(蓄圧式の場合も,圧力を抜かずに分解や破壊をしようとした事例など加圧式ほどではありませんが事故が起きています)が,この事故が機となり,蓄圧式消火器の普及や設置への動きが加速しました。その際にいち早く蓄圧式へのシフトを表明し対応したのが初田製作所です。同社の消火器総合カタログを見ると,カタログの前の方に加圧式のデメリットが記載されていたりしますし,そうした面を見たりするとネガティブキャンペーンととられるかもしれません(初田製作所のホームページで消火器総合カタログを閲覧できますので,ご覧頂ければ内容を御確認頂けると思います(HPへのリンク:https://hatsuta.co.jp/catalogue/)。)。 最初に初田製作所が主要消火器を蓄圧式の構造にした後,「ヤマトプロテック(YP)」が追従し,その後更に「宮田工業(miyata)」「モリタ(MORITA)」(宮田工業とモリタは今現在合併し「モリタ宮田工業」と改称)「マルヤマ」が次々と主要消火器を蓄圧化しました。これらのメーカーは今現在は自動車用や大型消火器などの一部が加圧式となっていますが,それ以外は蓄圧式にシフトしています。 しかし,その一方で,今現在も主要消火器の多くで加圧式を採用しているメーカーもあります(「日本ドライケミカル(NDC)」。こちらも徐々に蓄圧式が増えつつあります。)。 とはいえ,今現在,総務省消防庁が音頭を取って消火器の蓄圧化を推進している(例:加圧式に比べて蓄圧式の方が点検要領・基準が緩和されている等の技術規格の改正がなされており,分解や放射を伴う機能点検が加圧式では3年ごとに行う必要があるところ,蓄圧式では5年ごとで対応できる)などのことや,今現在市場に占める消火器の割合の相当数が蓄圧式になっていること,容器の気密性確保など技術や品質管理のレベル向上がなされている現状では,今後更に蓄圧式への変更の流れは加速するのではないかと個人的には思っています。 蓄圧式は外形の点検や圧力値の確認で設置されているユーザーが使用可否を確認でき,放射操作時に一時的に薬剤放射をストップできるメリットもあります。加圧式は業者が分解し内部を確認したりしないと確実な使用可否が判定できないことがあったり,小型器種の場合は放射操作をすると薬剤放射を途中で止められないデメリットもあります。ただ,これは裏返せば,点検義務のある建物では技量ある専門家が常に状況をチェックしてくれているということでもありますし,船舶用消火器の場合は洋上で詰め替えるため予備薬剤やガスボンベの積載が義務付けられているケースもあり,船舶用やそれ以外の用途であっても作業現場で速やかに詰め替え作業を行えるメリットもあります(蓄圧式は窒素ガス容器や圧力調整器・圧力漏れ検査用の水槽など多くの資機材や設備が必要となり,現場では作業不能。)。そうした面を考えると加圧式と蓄圧式にそれぞれ一長一短だと思います。まあ,加圧式の場合は維持コストがかかるネックもあるんですけどね…。点検義務が課せられていない建物への設置の場合は住宅用若しくは業務用蓄圧式消火器がベストチョイスだと思いますし,私自身も蓄圧式を選択しています。 余談が長くなりましたが,そうした背景を考えると,恐らく「初田製作所」の事ではないかな?と私は思います。
なるほど:2
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