【不動産登記】判決によって所有権を証明した者からの所有権保存登記についてお聞きします。

Question

【不動産登記】判決によって所有権を証明した者からの所有権保存登記についてお聞きします。法７４条１項２号により所有権保存登記をする場合の判決の被告は、表題部に記録されていない者とすることができない旨の先例（平１０．３．２０第５５２号）があるようです。

一方、判決の種類は、所有権の確認判決でもよいとされていますので、判決の被告が表題部に記録されていない者ということはあり得ると思います。

たとえば、AもBも、表題部のない甲土地の帰属を争って、Aを原告、Bを被告とする所有権確認訴訟を提起する場合が考えられますが、やはり表題部に記録されていない者を被告とすることはできないのでしょうか。
とりわけ、冒頭の先例の考え方を教えてください。

Answer 1

平１０．３．２０第５５２号は下記のようなものです。もしかすると、質問者様がイメージされているものと少し違うのではないでしょうか。

登記簿の表題部は旧土地台帳から一元化されたものですから、表題部所有者の記載がない登記簿というものが果たして存在するのか疑問です。表題部所有者の住所が書いていない登記簿ならザラにありますが・・・。絶対にないとは言い切れませんが、もしそのような土地があったとしたら、どのような手続きを踏んで所有権保存登記をすることになるのかは、登記官と事前協議でもして決めるしかないのではないかと思います。非常にレアな事案でしょうから、簡単に答えがでるようなものではないような気がします。

平成10年3月20日付け法務省民三第552号（法務省民三第551号）法務局長（除く東京）、地方法務局長あて法務省第三課長通知（回答）（平成10年3月9日2不登1第41号東京法務局長照会・平成10年3月20日付け法務省民三第551号法務省民事局長回答）

判決による所有権保存の登記の取扱いについて（通知）

【4912】 標記について、別紙甲号のとおり東京法務局長から民事局長あて照会があり、別紙乙号のとおり回答されたので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

（別紙甲号）

判決による所有権保存の登記の取扱いについて（照会）

一 権利の登記のされていない不動産の登記簿の表題部に記載されている所有者が甲及び乙である場合において、丙が不動産登記法第100条第1項第2号の規定により自己名義で所有権保存の登記を受けるために申請書に添付する判決は、甲及び乙両名が被告であることを要し、表題部に記載されていない者を被告とした判決はもとより、甲又は乙のいずれか1名を被告とした判決も含まないものと考えますが、いかがでしょうか。

二 登記簿の一元化作業により旧土地台帳から移記した登記簿の表題部の所有者欄に「甲外何名」と記載され、共同人名簿が移管されなかった等の理由により「外何名」の氏名住所が明らかでない土地について、「甲」のみを被告とする所有権確認訴訟に勝訴した者から、当該訴訟の判決書を申請書に添付して、不動産登記法第100条第1項第2号の規定による所有権保存の登記の申請があった場合、当該判決の理由中に、「甲外何名」の記載にかかわらず当該土地が原告の所有に属することが証拠に基づいて認定されているときに限り、便宜、当該判決を、不動産登記法第100条第1項第2号にいう判決として取り扱って差し支えないものと考えますが、いかがでしょうか。

（別紙乙号）

判決による所有権保存の登記の取扱いについて（回答）

平成10年3月9日2不登1第41号をもって照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考えます。

Answer 2

表題登記はされているが、表題部所有者の記載がない不動産（滅多にありませんが）について、Ａの所有権を確認する判決があれば、Ａは所有権保存登記を申請できるでしょう。
表題部所有者としてＢとＣが記載されているのであれば、ＢとＣを被告とする必要があるということです。
なお、蛇足ですが、表題登記のない土地は官有地と思いますので、被告は国などになると思います。

Answer 3

表題部のない不動産なのでしたら、裁判で所有権が認められたものが表題部登記を申請するでしょう。