解決済み
①税効果会計は会計上の収益・費用と税務上の益金・損金が認識されるタイミングが異なるため、計上されるものです。 つまり、「税効果会計が適用されるタイミング」は期末時点で会計上の収益・費用と税務上の益金・損金が認識されるタイミングが異なるような取引が残っている場合に適用されます。 例えば、こんなケースです。 理解のために極端なケースを例示します。 A社、B社ともに当期の売上は100。 費用は従業員に対する賞与80のみ。 法人税率は50%とします。 ここでA社は当期中に賞与を全額支払いましたが、B社は当期中には支払わず、賞与引当金として積み立てただけで、翌期に支払いました。 会計上は従業員に対する支払い義務が発生していれば費用として認識するので、税引前の(税引前)利益はA社、B社ともに 100-80=20 です。 ところが、税務上(法人税上)は賞与は実際に支払っていないと損金(税務上の費用)として認めてくれません。 そうすると、A社の賞与は実際に支払っているので損金として認められるので、税金は (100-80)*50%=10 B社の賞与はまだ支払っておらず、損金として認められないので税金は 100*50%=50 となります。 そうすると、A社とB社の違いは賞与の支払いのタイミングだけであるのみ関わらず、最終利益にはこのような差が出てきます。 A社:100-80-10=10 B社:100-80-50=-30 こうなると、同じような活動をしているはずなのに、賞与支払いのタイミングだけで業績にこんなに差が出るのは、企業業績を正確に表していないのでは???という疑問が当然出てきます。 そこで、税効果会計という考え方が生まれました。 税効果会計では、B社がA社よりも税金を40多く支払っているのを、税金の前払いであると考えます。 つまり当期の税金支払いが、翌期の税金を減らす効果がある、と考えるわけです。 実際に例えば翌期、A社B社ともに売上100、費用なしの場合、 A社の税金:100*50%=50 B社の税金:(100-80)*50%=10 (賞与を支払ったことによって税務上は損金として認められるため) となり、A社よりも40税金を節約できています。 従って、B社が当期末に支払った税金40を資産として認め、同時に損益計算上は収益方向に40を認識します。 仕訳で言うと以下の通りです。 (借方)繰延税金資産 40 (貸方)法人税等調整額 40 B社の利益に「法人税等調整額」という名称で利益方向に足してあげるとB社業績は、 売上100ー賞与80ー法人税50+法人税等調整額40=10 となり、A社と同じ最終利益に落ち着きます。 ②貸倒引当金が前期のものが残っている場合は、差額で処理する場合(差額補充法)も一旦逆仕訳で取り崩して新たに計上する場合(洗い替え法)もあります。 例示すると、 決算整理前に前期の貸倒引当金が200残っている。 当期末残高としては、300にしなければならない。 という場合に、 (借方)貸倒引当金繰入額 100 (貸方)貸倒引当金 100 として純額の100のみ加算する方法(差額補充法)と、 (借方)貸倒引当金200 (貸方)貸倒引当金戻入益 200 と一旦前期末のものを取り崩した上で、 (借方)貸倒引当金繰入額 300 (貸方)貸倒引当金 300 と総額を繰り入れる方法(洗い替え法)とがあります。 今は差額補充法の方が主流です。 どちらの方法も前期末のものがいくら残っていようが、当期末に必要な残高とするという意味では同じです。
法人税などを算出する場合、会計上と税法上に将来の期と当期に認識し負担させるべきものに違いがある場合があります。会計上は将来の会計上の税額認識に備えるもの。あるいは、将来発生することが見込まれる税額の減額分を資産計上したものを、繰延税金資産としてB/S上に計上しますが、その計算過程には繰延税金資産となるもの、繰延税金負債となるものがあります。賞与引当金は繰延税金資産の原因になるものです。貸倒引当金も繰延税金資産の原因になりますが、貸倒引当金には洗い替え法がありますが、賞与引当金にその必要はありません。
税効果会計は簡単には、会計と税務とで収益(税務では益金)や費用(税務では損金)の計上のずれが生じてしまうところ、そのずれのうち一時的なものを「税」の名の付いた科目を用いて埋めようとするものです。 そのため、一時的にずれが生じるものについて、ずれが見られるときに、税効果会計が適用されます。決算整理仕訳で計上することになります。 賞与引当金は、賞与支給の時に取り崩されます。前期末残高も、当期の最初の賞与支給時に取り崩されます。 そのため、前期末残高を当期末まで持ち越して反対仕訳で洗い替えることはありません(実務では見られますが、学習簿記では当期末まで持ち越しません)。当期末には、来期の最初の賞与支給見込額のうち当期負担分が新たに計上されます。 なお、税効果会計の説明をなさった回答に対して会計偏重主義との批判があるようですが、そもそも税効果会計は会計側の基準ないし考え方に基づくものですから、批判は的外れです。課税の公平性等は、専ら税務側の考え方であり、税効果会計には無関係です。その点でも的外れです。
回答者の意見に口を挟むのは憚られますが、この回答者 の意見は単なる会計偏重主義にたった屁理屈に過ぎないと思います。税体系は、課税の公平性等の観点から構築されたものであることを見過ごしていると思います。
< 質問に関する求人 >
簿記(東京都)この条件の求人をもっと見る
求人の検索結果を見る
< いつもと違うしごとも見てみませんか? >
覆面調査に関する求人(東京都)この条件の求人をもっと見る