解決済み
理学療法士になったばかりのものです。先日、心不全がある患者に対し、浮腫をなくすために心臓にかえそうとしたらリスクだからと怒られている人を見ました。なんとなくリスクなイメージはわかりますが、メカニズムを踏まえて教えてください!
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dxnrn708さん …心不全がある患者に対し、浮腫をなくすために心臓にかえそうとしたらリスクだからと怒られている人を見ました。なんとなくリスクなイメージはわかりますが、メカニズム… 返そうとしたら…とは、血流を末梢から心臓へということですか? 心不全には急性心不全、慢性心不全がありますが、ここでは慢性心不全のことでしょうか? 心不全とは、心臓の構造的異常や機能的異常により、全身の各臓器が正常に働くために必要とする血液を供給できなくなっている状態で、疲労感、息切れ、浮腫など、さまざまな臨床症状が引き起こされる臨床症候群です。 一見すると、血流が悪くてさまざまな臨床症状が出ているのですから、血流を良くすれば症状が良くなるように見えます。 しかし、心臓はポンプとしての機能が弱っている状態ですから、その状態でさらに心臓へ流れ込む血流量(静脈還流量)が増すと、心臓は余計にがんばらなくてはなりません。すると、それが心臓にとって負担になり、状態がさらに悪化します。 ここでひとつ薬物療法を紹介します。慢性心不全患者さんに利尿薬が用いられます。体内の余分な水分を排出して、循環器系の負担を減らそうとするものです。同時に、これは浮腫を軽減させるものでもありますが。 また、β遮断薬も用いられます(成書によると、駆出率40%未満の患者に適応)。下のサイトの「慢性心不全にまず必要な薬物療法」をご覧下さい。β遮断薬には心臓の働きを「抑える」作用があります。働きを抑えることで、心臓の負担を減らしているものです。 http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph53.html 心不全(慢性心不全)の治療戦略はそのステージによって多少異なりますが、基本的には循環器系の負担軽減です。このことからも、末梢から心臓への血流を良くすることが心不全患者さんに良いわけではないことが解ります。 余裕があれば、「右心不全」「左心不全」を調べてみて下さい。こういった勉強がPTとしての底力を付けることになりますから。もし将来的に心臓リハビリをするなら、必要になる知識です。 ちなみに、手技的にマッサージをして局所の血流が良くなったとしても、全身の浮腫が減るわけでもないです。ましてや、ホットパックなんか無意味。浮腫って間質に水分が貯留している状態ですから、そこに温熱を加えたら低温火傷を起こしかねません(温めると循環が良くなるからと、これをやっているPTを見かけたことがあります)。 「浮腫とは何か」も少し調べてみて下さい。 浮腫は局所性浮腫と全身性浮腫とに大別されますが、80〜90%が全身性です。 全身性浮腫は心不全(右心不全)でも起きますし、腎不全(ネフローゼ症候群など)、肝障害(低アルブミン血症による)などによっても起こります。全身性浮腫のうち、心不全と腎不全で50%を占めます。 こういった全身性浮腫は原因となる病気の治療がなされないと根本的な解決にはならず、残念ながらPTの手技的なアプローチは焼け石に水でしょう。
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