文化遺産の調査員はどうやったらなれますか。 文化遺産は、各国が出した暫定リストをユネスコ世界遺産センターが現地調査をI…

Question

文化遺産の調査員はどうやったらなれますか。
文化遺産は、各国が出した暫定リストをユネスコ世界遺産センターが現地調査をICOMOSに依頼して審査して、文化遺産が登録されると聞きました。
ICOMOSで文化遺産の暫定リストの物件を現地調査する人にはどうしたらなれますか？
また、どれくらいのレベルの大学や大学院を出ておいたらいいですか？
英語は必須だと思いますが、他の言語も勉強した方がいいですか？

Answer 1

まずICOMOSは任意団体なので、就職するという形にはなりません。ICOMOSという組織に加入しメンバーになるのですが、これはICOMOSに加盟する各国に国内組織があり、それを統括しているのがICOMOSになります。日本には日本イコモス国内委員会があるので、ここに在籍していることで暫定リスト調査依頼が舞い込む可能性はあります。メンバーは特定の専門分野（建築・美術・産業・考古学…etc）に精通しており、他のメンバー二名の推薦があり、評価される論文の発表や社会的実績があるかの資質が問われ、多くが大学教授等の地位にありますが、在野の研究者もおられます。
ユネスコがICOMOSへ暫定リスト物件の審査を依頼すると、ICOMOSが各国のメンバーの中から調査対象を正当に評価できるスペシャリストを専任して派遣します。ICOMOSメンバーは世界中に何百人とおり、それぞれ第一線で活躍されている方ばかりですし、近年暫定リストの内容も多岐にわたっているので調査分野も細分化され、自分の得意分野での依頼があることの方が稀と言えるでしょう。自分も日本組織の賛助メンバーですが、日本人で調査要請を受けた人物は殆どいません。
現地での聞き取りや報告書作成には専門用語を含む高度な語学力は必須となります。さらに年々審査が厳しくなっており、単に文化財的価値を調査するのではなく、ユネスコが求める「オーセンティシティ」や「インテグリティ」が立証されているか見極める鑑定眼も必要です。
調査対象先の治安や衛生状態が悪いこともあるでしょうし、悪い評価を下し恨まれることもあるようです。
一部では買収や接待攻勢で良い評価を得ようとする動きも報告されています。何より公平・客観性・清廉さが求められます。
それと出張旅費は至急されますが、給与は支払われません。つまり職業にはなりえないということです。