質問者様のプロフィールを見せていただきましたが、19歳以下で学生とのこと。 「看護師の倫理綱領」とのことですが、これは日本看護協会が2003年に出した「看護者の倫理綱領」のことでしょうか? まあこれ以外は無いと思うのでそうだとして話を進めます。 日本看護協会のトップページ→看護実践情報→看護倫理→看護者の倫理綱領 http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/rinri/rinri.html PDF形式は、 http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/rinri/pdf/rinri.pdf にあります。 共に会員登録なしで見ることができます。各15項目の条文に対して解説が加えられています。 質問者様は15項目の「条文」だけ読まれて「解説」は読んでいないのでしょうか? 仮に解説を読んでいたとしても非常にわかりにくい表現であることに変わりはないと思います。 なぜわかりにくいのでしょうか?日本看護協会はわかりにくい表現をあえてしたいわけではないと思います。 ここで基本に返って用語の定義を確認します。kotobank.jpという無料の辞書サイトから私が意図的に引用します。 倫理とは、人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。 綱領とは、1 物事の最も大切なところ。要点。眼目。2 政党や労働組合などの団体の政策・方針などの基本を示したもの。 ですので、私は、この「看護者の倫理綱領」を日本看護協会が、看護を行う者が規準となるモラルやその要点を示したものと考えてます。 この倫理綱領の前文には、「略…あらゆる場で実践を行う看護者を対象とした行動指針であり、自己の実践を振り返る際の基盤を提供するものである。」と述べられています。 看護実践の行動指針なので、実際の現場で看護師として業務を行ったことがない質問者様にはわかりにくいと思いますし、私も学生の時に読んだときには実感がわかない文章でした。そして、有床診療所、個人病院や大学病院の病棟で勤務するうちに様々な場面に出会い、そこで「これはどうなの?」と倫理的な問題ではないかと感じる場面があり、同僚や上司・医師を含めた他の職種の方のアドバイスも必要ですが、看護倫理の基礎知識を学んだり、この倫理綱領を読み直して、自分の考え・価値観を修正することで、次の私の看護介入を改善したり、他の考え方や価値観を受け入れたりしたものでした。 質問者様が実際に看護師免許を取得し、病院にせよ、診療所にせよ、老人保健・福祉施設にせよ、訪問看護ステーションにせよ業務に携われば、様々な倫理的な問題を含んだ場面に直面すると思うので、その際にこれを読み直していただいて、自分の看護職としての行動を振り返って、よりよい看護につなげていただければよいと思います。 しかし、平成21年4月13日 厚生労働省医政局看護課が出した「保健師助産師看護師国家試験出題基準」にある看護師国家試験の出題基準を示した全体版の26項 基礎看護学 大項目1.看護の基本となる概念 中項目D.看護倫理 f.倫理綱領 と国家試験でも出題されることを想定すべきです。 看護師国家試験での出題内容については、 「保健師助産師看護師国家試験出題基準の利用法(平成21年4月13日、厚生労働省医政局看護課)」 保健師、助産師、看護師の国家試験は、保健師助産師看護師法第17条に基づき、保健師、助産師、看護師として必要な知識及び技能について行われる。この知識と技能を評価するための標準的な内容を具体的な項目によって示したのが、国家試験出題基準である。…略…また、国家試験出題基準は、看護師等養成所の教育で扱われるすべての内容を網羅するものではなく、また、これらの教育の在り方を拘束するものではない。 1. 大・中・小項目の位置づけ 3)略…。また、出題範囲は記載された事項に限定されず、標準的な学生用教科書に記載れている程度の内容を含む。 が参考になるでしょう。しかし、看護の現場に出ていないとわからないでは、前に進まないので、著書を紹介します。 やさしい看護者の倫理綱領 東京医科大学看護専門学校【著】 価格 ¥499(税込)照林社(2006/09発売)サイズ B5判/ページ数 37p/高さ 26cm ISBN 9784796521369 値段も看護関連の著書としては、高くないですし、条文や解説に対して、具体例を示して解説し、なおかつ量も少ないので厳しく言えば限定的な説明と言えなくもないのですが、「事例をふまえて学生にわかりやすく」という視点は良いと思います。 この本の序文には「しかし、現場の体験の少ない学生には、『看護者の倫理綱領』の15条文の意味を理解することはむずかしく、また、現在のカリキュラムにおける制約の中で、これらについて具体的に学ぶ時間を十分確保できるとは言いがたいのが現状です。」と述べられています。 そして、上記の本が現在も発売中か調べてみると書店で購入できるようですし、同じ専門学校が下記の本を出しています。私は読んだことが無いのですが、約4年後に出版されており、ページ数も約30から60ページと倍になり、わかりやすく具体的な解説が増えていることが望めます。 よくわかる看護者の倫理綱領 東京医科大学看護専門学校【編著】価格 ¥840(税込)照林社(2010/10発売)サイズ A4判/ページ数 67p/高さ 26cm ISBN 9784796522342 教科書としては、小西恵美子編:看護学テキストNiCE 看護倫理 よい看護・よい看護師への道しるべ、南江堂、2007が看護における倫理は全般について、看護における倫理をどのように考えるのか、また、看護における倫理に関わる考え方についてわかりやすく解説してあるので、お勧めです。全部読むのが無理ならば最初の15ページを読むだけでも、看護における倫理を考えるうえで役に立つでしょう。この本は、将来、看護師として業務を行っている時に出てくる出来事が「これは倫理的な問題を含んでいるのか、そうでないのか」を判断する上で基礎になる知識が網羅されていると感じます。 看護が提供される場面では看護師だけではなく、患者(利用者)さんや家族・介護者を含め、それを支援する様々な職種の人の様々な役割や意見・価値観などの中で看護が提供されます。その看護の提供に倫理的な問題を含んでいるかいないかを判断することは、自分や自分自身の考え方や知識・技術の改善によって解決できること、出来ないことを見分ける上では大切でしょう。 看護における倫理について初歩的な知識が少ない状態や現場で倫理的問題を含む場面に遭遇していない状態で、「看護者の倫理綱領」をしっかり理解するのは難しいでしょう。学校の図書館や先生がこの本を持っていたら借りて読んでみてください。また、この本の「はじめに」で、「3つめは、事例を多く扱っていることです。看護倫理は学問であると同時に実践です。私たちの日々の生活や職業生活とともに歩んでいますので、看護倫理の理論的な事柄は個々の状況や文脈とともに考えることが大切です。その意味で、本書の随所に示されている事例から、生きた倫理を学びとることができるでしょう。」と述べているように、看護場面における実践から事例などを踏まえて看護倫理の考え方を読み取ることも重要です。倫理に関する知識だけでは、看護倫理は語れません。事例などからあなたはどう感じ、考えるかがあるから「看護倫理の理論的な事柄は個々の状況や文脈とともに考える」ことができると思います。その意味では看護倫理について事例を挙げて解説した本もありますので、参考にしてください。 質問者様は看護師としての資格を取得される過程で広範な内容の知識を吸収し、その一部を実習で活用されることを求められているでしょう。看護倫理に関する学習に当てられる時間は限られていると思います。その中で有意義な学習ができ、国家試験に合格することはもちろん、将来、看護師として活動する際にも看護倫理を忘れずに活動していただければと思います。 長文失礼します。
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