伝送工学で通信に関し、伝送容量を増大させるために有効な新しい技術にはどういったものがあるのでしょうか？

Question

伝送工学で通信に関し、伝送容量を増大させるために有効な新しい技術にはどういったものがあるのでしょうか？

Answer 1

専門的な質問ですね。伝送工学は専門ではありませんが、伝送容量を増大させる技術→ハードウエアに関してならお答えします。伝送といっても、装置間伝送、空間伝送、長距離伝送などありますが、現在の大容量長距離通信は光ファイバ通信に他なりません。私は電子工学科卒、光通信機器メーカーの開発職です。ただし光通信システムが専門ではなく、送受信機器内に内蔵される半導体レーザやフォトダイオードが専門なので、あしからず。
光通信の最も単純な変調技術は強度変調（OM/OFF)ですね。半導体レーザ、フォトダイオードの高速化により、現在では10Gbit/sシステムが実用化され、40Gbit/sまで発表されています。
しかし光信号には波長、位相という要素を持つため、これらを活用する研究、開発が行われています。
波長に関しては、先ず光コヒーレント伝送。大容量伝送方式の一つで、周波数や波長が微妙に異なる複数の光を1本のファイバで同時に送受信する方式で、光周波数分割多重伝送方式(光FDM方式)、あるいは光波長分割多重伝送方式(光WDM方式)などの総称です。1本の光ファイバーで理論上は数Tbps～数十Tbps程度の伝送速度も可能であるとされています。
光WDM方式は、
4波程度を多重するWWDM（Wide WDM：広波長分割多重）
8～16波長を多重するCWDM（Coarse WDM：低密度波長分割多重）
16波以上を多重するDWDM（Dense WDM：高密度波長分割多重）があります。
現在、DWDMでは100波長以上の多重化が可能、将来的には1024波長以上の多重化が可能となり、テラビットの時代に突入すると予測されます。
位相変調については、次のような方式があります。
光周波数シフトキーイング（FSK）
周波数を切り替えることで情報を伝送する方式があり、光パケットシステムでのラベル信号発生に利用可能で、高速大容量伝送にも適しています。
DQPSK（差動4 値位相シフトキーイング）
位相偏移変調(PSK)の一種で隣り合うタイミングの光信号間の位相を4 通りに変化させることで一度に2 ビットの信号を安定に伝送でき、伝送路通過する際の信号歪に対する耐力、帯域の効率性に優れています。
BPSK (二値位相変位変調)
位相を切り替えることで情報を伝送する方式。位相を二通りに変化させるものを二値位相変位変調(BPSK)といい、超長距離伝送に適しています。
最新トピックとしては、
富士通の、100Gbpsデジタルコヒーレント受信方式に対応した DP-QPSK集積受信モジュール
http://jp.fujitsu.com/group/foc/news/100312.html
OKIが、40ギガビットの光位相同期型コヒーレント光通信技術
http://www.oki.com/jp/press/2010/08/z10055.html
などがあります。
また、光通信技術の最もHOTな話題としては、次世代高速光通信規格として40ギガビット・イーサネット (40GbE) や100ギガビット・イーサネット (100GbE) などが国際的な通信規格について話し合う組織であるIEEEにおいて調整段階にあります。イーサネット (Ethernet) はコンピュータネットワークの規格の1つで、世界中のオフィスや家庭で一般的に使用されているLAN (Local Area Network) で最も使用されている技術規格です。例えば、
日立製作所とOpnext社
伝送速度が25Ｇbit/秒で、1.3μm帯の波長の異なる光信号を4波長多重化し、1本の光ファイバで10kmの伝送を行う方式
http://www.eleki-jack.com/news/2009/03/_100gbit.html
などは注目に値します。
理工系の学生さんでしょうか？光通信の大容量化などでのレポートで良いのであれば参考にしてください。ただしここに挙げた内容だけでは中身が薄いので、それぞれのキーワードで検索して、よく理解してください。