１級建設業経理士試験について

Question

１級建設業経理士試験について今年の９月に行われる１級建設業経理士試験を受けようか悩んでいます。
というのも、ついこの間まで建設業経理士の「け」の字も知りませんでした。しかし、仕事上この資格は必要なので一気に勉強してできるだけ早く取りたいと思っています。
そこでネックになるのが、私のあたまのことです。簿記の知識はほとんどありません。過去に一度、日商３級を受けたのですが落ちています。それぐらいですので、あたまには全く自信がありません。
そんな私が９月までの４ヶ月間で合格レベルまでもっていけるでしょうか？決して３科目ともとは言いません。どれか１科目でも取れるところまでいけるでしょうか？
みなさんの意見や体験談など、よろしくお願い致します。

Answer 1

税理士試験科目合格（簿・財）・日商簿記検定１級・(旧)１級建設業経理事務士合格者です。

あくまで私の個人的な結論ですが、結論から先に申し上げますと大変残念かつ厳しい事を申し上げますが全く以て無理かと存じます。たとえ１科目でもです。

既にご存知かとは思いますが、１級建設業経理士試験は「財務諸表」「原価計算」「財務分析」の３科目で構成されております。

①「財務諸表」は個人的な感覚でのレベルでは「日商簿記１級」＞「財務諸表」＞「日商簿記２級」位のレベルかと存じます。ですので最低限「日商簿記２級」程度の知識はないと合格にはおぼつかないかと存じます。その「日商簿記２級」に合格するために必要な学習期間は、仮にお勤めをしていない事を前提として、どんなに理解が早くてどんなに学習時間が取れたとしても最低２ヵ月はかかるかと存じます。ましてや貴方の場合「お勤めをしている」「日商簿記３級に落ちている」という事を加味しますと、どう転んでも４ヵ月の学習期間では「財務諸表」の合格は無理です。

②「原価計算」も個人的な感覚でのレベルでは「日商簿記１級」＞「原価計算」＞「日商簿記２級」位のレベルかと存じますので上記と同じ理由により、どう転んでも４ヵ月の学習期間では「原価計算」の合格も無理です。加えましてこの「原価計算」は「日商簿記２級」で初めて学習する「工業簿記」を理解しておりませんと全く歯が立ちません。

③「財務分析」は１級建設業経理士特有の科目でございますが、これも「日商簿記２級」レベルの財務諸表（貸借対照表や損益計算書）の内容（財務諸表に記載されている勘定科目とその数値の意味）を理解しておりませんと全く歯が立ちません。計算問題に関しましては公式が確か70～80個位あり、それを丸暗記すれば基本問題程度は解答出来なくはないのですが、その公式に書いてある事が理解出来ていなければ基本問題以上のレベルの問題は解けません。例えば「完成工事高経常利益率＝経常利益÷完成工事高×100(％)」という公式を何も考えずに丸暗記する事は可能かと存じますが、その公式の中の言葉（「経常利益」「完成工事高」）が何であるのか、またその公式により計算した結果の「完成工事高経常利益率」の数値が高い方がいいのか、低い方がいいのか、そして何故その方がいいのかを理解しておりませんと解答に結びつきません。ですのでやはり、どう転んでも４ヵ月の学習期間では「財務分析」の合格も無理です。

よって現状の貴方の簿記の知識レベルでは誠に残念ではございますが、たとえ１科目であっても合格は無理かと存じます。

建設業経理士の１級未満の級の個人的な感覚でのレベルとしては「日商簿記２級」≧「２級建設業経理士」＞「日商簿記３級」といった感じかと存じますので、まずは６月にある「日商簿記３級」合格を目指して今すぐ学習に取り掛かってみて下さい。「日商簿記３級」でしたらお勤めしながらでも１ヵ月あれば独学でも合格可能かと存じます（勿論休日等は全て簿記の学習に充てる事を前提としています。）。そして簿記の基礎を「日商簿記３級」で習得しましたら９月までの間に１級ではなく「２級建設業経理士」を学習し、建設業簿記の基礎を習得して「２級建設業経理士」を受験されるのが宜しいかと存じます。その「２級建設業経理士」に合格して初めて「１級建設業経理士」を学習するスタートラインに立てるかと存じます。

私が「(旧)１級建設業経理事務士」を受験した頃は受験の機会は3月の年１回のみでした。それを考えましたら現行の建設業経理士試験は年２回の受験機会がございますので私が受験した頃よりは条件的に恵まれているかと存じます。

とにかく簿記は一朝一夕で習得できるものではございませんので、下の段から順に階段を上がるが如く学習していかれた方が宜しいかと存じます。

長文にて失礼致しました。それでは健闘を祈念しておりますので頑張って下さい。