マーケティングというアメリカ由来の概念もこの先どうなるかよくわからず、批判的な意見も増えてきており、アベノミクスに象徴される新自由主義に対しても懐疑的な見方が増えてきています。 象徴的なのが、東京五輪汚職を巡る電通幹部に対する捜査です。 大量消費時代は、広告代理店を駆使した 「時代遅れと思わせろ」 というようなマーケティング手法が多かったわけですが、現在は 「持続可能な社会」 というようなのが主張されることも多く、 「大量生産、大量消費」 を前提としたマーケティングがいつまで通用するかわからず、観光行政でも 「観光公害」 とか、 「オーバーツーリズム」 などが問題視されたりします。 自働車のマーケティングでいえば、クリーンディーゼルで失敗したドイツなどは 「脱炭素」 「カーボンニュートラル」 といった地球温暖化の危機を煽ることで、ガソリン車の廃止、EVの優遇、といった政策で、日本車からシェアを奪うことを目指しているともいわれますが、ロシア軍のウクライナ侵攻による天然ガス不足、電力不足などで成功するかどうかわかりません。 イーロン・マスクのテスラのEVのマーケティングなどは、販売店を持たず、ネットで売ることでコスト節約を目指してますが、修理が不便であり、ギガキャストで一体成型した樹脂製の部品は修理すること自体が前提にない、などとも言われます。 このへんはまさにイーロン・マスクという人間の発想自体に由来し、またル・マン24時間や、世界ラリー選手権のようなモータースポーツをマーケティングに生かそうというトヨタの戦略は、豊田章男の成瀬弘に対する個人的な思いに由来するのです。 ヤリスは世界ラリー選手権をイメージさせる宣伝、開発で、今のところ成功しています。 大塚家具などは、父親で娘で意見が真っ向から対立して会社は分裂し、結果も明暗を分けました。 日産はカルロス・ゴーンを追放しましたが、その後に販売したノート・オーラは今のところ売れています。フェアレディZも新型が出ます。 自動車などは、フロントグリルや、ライトのデザインが変わるだけで売れ行きが変わる場合もあり、そのへんはまさに人間心理です。 テスラのEVを買う人も、実用目的ではなく、最先端のイメージだけで買っているなどとも言われます。 車いすが乗れるようにミニバンを改造して設計された、東京のジャパンタクシーは、デザインも色も非常に不評であり、東京五輪がらみの国と東京都の補助金がないと売れないと言われます。 トヨタは銀行から金を借りない無借金経営で、トヨタ銀行などとも言われますがこれも全くトヨタ独自の哲学と言えます。 ポルシェなどは、広告を使わないことで有名であり、これも一般的なマーケティングの理論とは真逆です。 今のアメリカでは、R32GT-Rのような25年前の日本の中古車が売れていますが、こういうのも従来のマーケティング理論とは全く逆の現象といえるでしょう。 スバルなどは、今や国内よりも北米での販売の方がメインです。スバルがマーケティングで重視しているのは、 「頭文字D」 のようなドリフトのできるMTのFRのイメージであり、それでトヨタと共同開発したのが今のハチロクです。 日本の軽自動車などは、日本独自の規格であり、グローバルな世界標準ではありませんが、ホンダのNボックスはむしろそこに努力を集中して成功したのです。 世界戦略に特化しすぎて、逆に失敗したのがカルロス・ゴーンでした。 ベンツやBMWも、今は日本専用の右ハンドル車を増やすことで日本市場で成功したのです。グローバルとは逆行しています。 ポルシェのカイエンはマツダのロードスターを参考にしたものですが、FRでMTのオープンスポーツカーというのは、一般的なマーケティング理論は反する開発、販売だったのです。 スバルなども、雪国向きのスポーツ四駆ワゴンという特化したマーケティングで逆に成功しました。 スバルの場合は、さかのぼれば零戦のエンジンを作った中島飛行機に由来します。 自働車のマーケティング一つとっても、伝統、哲学、心理、文化などが非常に大きく影響します。
マーケティングは「価値の創造」で「売れる仕組み」を作る事です。そのためには人間を知り、人間の欲求を知り、組織を知る必要がありますが、価値とは人間がその商品をどれだけ欲しいと思わせるかに係っています。価値があると思う人にはとても高い価値があります。例えばヴァイオリンのストラディバリウスですが、高い価値があると思う人には何億円を出しても欲しくなる物なのです。そう思わせるのがマーケティングとしたら、人間の研究なので向いているかもしれません。
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