宅建試験過去問 平成30年問5

Question

宅建試験過去問 平成30年問5問題
Aは、隣人Bの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

の選択肢の3↓が誤っているのですが、

3. Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。

解説を読んでも誤っているところがわかりません。

民法にも
「管理者は、善良な管理者の注意をもって管理しなければならない」が原則

と、あります。で、解説には↓

本問の事例のように、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わないとされており、注意義務が軽減される

と、私が持っている参考書や過去問にあるのは同じ内容の解説だけでした。

この選択肢3が誤っている部分を教えて下さい。

台風で壊れてからじゃないと直さなくてよい。って事でしょうか？
屋根が壊れているから被害が起きそうだけど、まだ壊れてないし被害もないから事務管理義務には当たらない。からでしょうか？

もし、問3の選択肢が

「Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。」

ではなく

「台風の影響で屋根が壊れ、B宅に甚大な被害が起きていることが明らかである場合は、Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。」

だったら正しいってことになるのでしょうか？

それともまた全然違う引っ掛け問題でしょうか？

Answer 1

「修理の義務」が間違い。Aは修理の義務まで負わない。

善管注意義務とは自己の責任下にある物品等に、危険や被害が及びそうな状態にあるにも関わらず、それを放置して被害を生じさせてしまった場合に問われる話。
例えば、借家住まいのXが、雨の降るのに窓を開けたまま外出し、床を腐敗させた場合など。

設問は、AはB宅の隣人に過ぎず、Bの家屋の管理に対して何らの責任はないのでそもそも善管注意義務はないと思われる中、更に「修理の義務」って何よ？
管理下にもないところで、何故に修理まで？

Answer 2

この第5問の設問、あまり良い問題ではないと思います。

設問文で半分は国語力の問題で、、、選択肢文3も説明不足で、、、選択肢3だけで正誤を判断できる設問5ではないように思えます。
(悪問に近いと思います。この設問全体にこだわらない方がいいですよ。)

＞3. Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。

3. Aは急迫・緊急な事情があったとしても、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって、その修理をする義務を負う。

おそらく上記のような緊急時の義務までの文章の意味にしたかったんだと思います。
(それを台風と差し迫ったおそれの設問文の表現だけで推測できる人、、、あまりいないと思います。)

正誤で考えると、、、
3. Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなくても良い。。。の理屈になると思います。

これだと、、、
それならどんな注意程度ならいいんだ？
そもそも注意すらしなくてもいいのか？
の、こじつけにもつながると思います。

選択肢3だけで考えると、完全な悪問だと思います。
ですからあまりこだわらない方がいですよ。

Answer 3

まず、原則論として事務管理については善管注意義務があります。
これを原則に考えて問題の事案は、本人Ｂの身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理を行った、これを緊急事務管理と言いますが、この場合には、管理者の注意義務が軽減されることとなり、悪意又は重大な過失がなければ賠償責任を負いません。
つまり、この事案は緊急事務管理でありますから
注意義務が軽減されるのです。
反対解釈をいえば緊急事務管理ではない急迫性のない事案では
管理者は善管注意義務を負い本人の利益に適するような管理をしなければ
なりません。

簡単にいえば急迫性のような緊急の場合にまで
善管注意義務を負わせるのは酷であり、本人にその危険を負わせても
止むをえず注意義務が軽減され、悪意又は重過失の場合にのみ
責任を負うということです。