【不動産登記】抵当証券が発行されている場合の収用による所有権移転についてお聞きします。 以前に質問をさせていただ…

Question

【不動産登記】抵当証券が発行されている場合の収用による所有権移転についてお聞きします。

以前に質問をさせていただきましたが、未解決の部分があったので、再投稿しました。先例集がないため、どうして次のような結論になるのかが分かりません。
どうして次の先例の結論（担保の十分性を証する書面が不要）になるのか、その考え方を教えてください。

収用による所有権移転登記を嘱託する場合に、抵当証券を添付するが、共同担保物件の一部であっても、担保の十分性を証する書面は不要（平７．１．９第２６号、２７号）。

付言
回答をお待ちしておりましたが、もう、回答は寄せられないと思って締め切ってしまいました。
回答しかけの状態とは知りませんでした。
この先例に関して、どんな情報でも歓迎です。

Answer 1

予想外なところで平７．１．９第２６号、２７号の解説を見つけましたので、その要旨と先例の全文を上げておきます。

解説要旨はおおよそ次のとおりです。尚、条文番号は、解説文中にあったものをそのまま使っています。もしかすると、法改正等で現行条文と条文番号が変わっているものがあるかも知れません。その点は、未確認です。

１．収用の裁決 （和解を含む（土地収用法五〇条五項）） があった場合は、裁決で定められた時期に、起業者が土地の所有権を取得するとともに、原則として、当該土地に関するその他の権利は消滅する （同法一〇一条一項）。
２．収用による所有権移転の登記の申請書 （嘱託書を含む） には消滅した権利を表示し、消滅したことを証する書面を添付するものとされている （不登法一〇七条一項）。
３．登記官は、収用による所有権移転の登記をするときには、消滅した権利の登記を職権で抹消する（同条二項）。
４．収用された土地の抵当権は、行政処分 （公権力の行使） によって実体上消滅したものであり、その登記は登記官が職権で抹消するものであるので、抹消する権利が抵当証券を発行した共同抵当権の一部であつたとしても、収用による所有権移転の登記の申請書 （嘱託書を含む） には担保の十分性を証する書面の添付を要しない。

要するに、主旨としては、「担保の十分性が残っていようが残っていまいが、抵当権は公権力の行使によって既に実体上消滅してしまっている。仮に担保の十分性が残っていなかったとしても、抵当権が消滅してしまっている以上、今更どうすることも出来ない。担保の十分性を証する書面を添付させてそれを確認する意味がない」 みたいなことなんだろうと思います。

平成7年1月9日付け法務省民三第27号（法務省民三第26号）法務局長、地方法務局長あて民事局第三課長通知（回答）（平成6年8月22日不第526号神戸地方法務局長照会・平成7年1月9日付け法務省民三第26号民事局第三課長回答）

抵当証券が発行されている土地についてする収用による所有権の移転の登記の嘱託書への抵当証券及び担保の十分性を証する書面の添付の要否について（通知）

【4815】 標記について、別紙甲号のとおり神戸地方法務局長から照会があり、別紙乙号のとおり回答したので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

（別紙甲号） 抵当証券交付の旨の付記登記がある抵当権設定の登記がある土地について、収用による所有権移転の登記を嘱託するには、その嘱託書に当該抵当権に係る抵当証券を添付することを要するが、当該収用により消滅する抵当権が共同担保物件の一部である場合であっても、担保の十分性を証する書面を添付することは要しないものと考えますが、いささか疑義がありますので、照会します。

（別紙乙号） 平成6年8月22日付け不第526号をもって照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考えます。