解決済み
現役の消防官です。 細かな話もしますので、長くなりますがお付き合いください。 まず「消防車」と一口に言っても、色々あります。 ポンプ車や水槽つきポンプ車、はしご車、化学車、救助工作車などです。 これらの車を発注する際は、ほぼ100%、競争入札になります。ほぼ全ての車両は、1台1千万円を超えますし、はしご車などは1億円超えなどザラにあります。 その購入費用は、自治体にとっては大きな負担になるのですが、国(総務省消防庁)からすれば、消防本部の規模に応じて「似たような規模の自治体なら、消防力も似たようなものにしたい」と考えます。 さらに、緊急消防援助隊など「広域応援態勢」を確立するために、都道府県や複数の都道府県をブロックに分けて、それぞれで装備などが同じようなレベルになるように配置等をしたいのです。 そのため「国貸与装備」といって「国が購入費用を負担し、消防本部に無償で貸与する」ものと「消防本部が独自に購入する消防装備に補助金をつける」という2通りの財政負担をしています。 で、消防本部が独自に車両を購入する場合は、まず、都道府県を通じて総務省消防庁に補助金の要求をします。それが、今年度納入の車両の場合は「昨年の夏から秋ごろ」には要求を済ませなければなりません。 というのは、総務省消防庁の予算運用の都合もありますし、車両を買う時の自治体が負担する予算をその後の議会で決めなければならないからです。 補助金がつくと決まれば、自治体(組合消防の場合は消防組合)内での予算を取らねばなりません。 まぁ、国の補助金がつくのに、自治体の予算がつかないから補助金を断るなんてことをすれば、しばらくは補助金をつけてもらえなくなりますから、他の予算の配分を調整することになります。 この予算案ができるのが10月辺りから12月あたりになります。 そして、2月の「予算議会」で来年度予算について議会の承認が得られれば、発注となります。 あらゆる契約がそうなのですが、基本的には「前年度に翌年度の契約等を実施できない」のです。しかし、入札が必要なものについては、前年度に入札を行って新年度に契約を結んだり、前年度に入札を予告し、新年度に入札、契約をすることもあります。 そこから、メーカーは仕様書に基づいた仕様(車両の能力や装備など)の車を造り始め、中間検査(仕様書通りに作られているかを完成後に確認できない部分について、製造途中に検査すること)を行い、完成すればメーカーで完成検査を行い、合格すれば、納車、引き渡しとなります。 実際の製造にかかる期間は、車種やメーカーにもよりますがポンプ車で4ヶ月から半年程度、はしご車などでは半年から9ヶ月程度と聞いています。 ですから「消防車を買い換えよう(新しい車を買おう)!」と話がでてから、早くて1年程度かかりますし、その本部独自のモデル(既存のモデルのマイナーチェンジではなく、どこの本部にもない車)を作る場合は、2年以上かかります。 また、車両を購入する費用は自治体の予算ですから、消防車だけでなく、庁舎の建築や改築、消防指令システム更新、防火服などの現場活動用装備などの「大口の予算がかかる事業」については、特定年度に重ならないように、何年も前から予算計画しています。 そんな大変なのに、事故でも起こして消防車などが廃車になったりしたら… 財務担当はブチギレますね(笑)
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