高校情報科の免許を取りたいのですが、どこの大学がおすすめですか?

Question

高校情報科の免許を取りたいのですが、どこの大学がおすすめですか?

Answer 1

情報工学を専門とする大学教員です．

高校の情報科の教職をとるのなら，多くの大学の工学部，理工学部，情報工学部などにある情報工学科，情報科学科，知能情報などの情報系学科の取れる資格のところを調べればよいだけです．普通は，これらの学科を名乗っているのなら「情報」の教職の資格はとれるところが多いのです．

ただ，はっきりいって高校の情報の免許のみを持つのは，あまりおすすめではありません．以下に理由を述べます．

１）情報の教科導入時のごたごた： 高校の情報科が始まった当初，文科省の中等教育をたんとうするところが急いで作ったもので，即席の教員を大学での夏期講習などで速成してよいとした経緯があります．つまり，高校の数学科や物理化学などの理系の先生や，中高一貫校の技術家庭の教諭を講習で取らせたという経緯があり，とりあえずは間に合っているからです．

２）情報の内容が大きく変化する可能性： 情報は，現在のカリキュラムは失敗だし，あんなのならやらない方がまし，などと多くの情報科学や情報工学の専門の大学教員は当初から批判していました．最近，文科省はやっと失敗を訂正し始め，プログラミング教育などを取り入れると方針転換をし，小学生から始めるなどと方針転換を始めています．ですから，情報科学をきちんと学んだ教員が必要と言う意味では価値はありますが，あまり採用には関係ないのが実は３）４）の理由からわかります．

３）教科による競争倍率（先生になるなりやすさ）の違い
各自治体で教員採用試験を受けて教諭になる場合の競争倍率が大きく異なるからです．http://kyousai.info/bairitu/ などを参照してください．
例えば，東京都の場合，数学の場合は，過去5年で3.8倍～7倍程度．一方，情報は4.4倍～12.5倍，年度によっては採用が０名のときもあります．倍率だけでなく，採用数も大きく異なり数学は148名～271名なのに，情報は0～10名とわずかです．

４）教科による一つの学校での必要な教諭の数
たとえば，音楽や美術の先生は，専任の先生が高校で1名なんてことは多いでしょう．一方，英語，国語，数学などは複数の先生がいます．これは，授業時間数の関係で容易に理解できます．例えば，数学が週1時間しかない高校はないですが，音楽が数学や英語なみに時間数がある高校はありえないからです．情報も同様です．

５）地方の過疎化が進んでいる小規模校での実情
４）から考えると採用時に複数の科目を担当できる先生がうれしいわけで，情報と数学を両方教えられる先生が，情報のみより価値があることがわかります．

以上から，私自身も自分の学生に教職を取るのなら，私の勤務先の学科では，数学と情報の両方を取得できますから，必ず数学を取れといいます．そして，情報工学系の学科ですから，あとは，少しの努力でついでに情報の教職は容易にとれます．

実際，私のゼミの卒業生で複数の人が，高校の教員になっていますが，すべて数学と情報の両方の資格を持って採用されています．実際は全員が数学を教えています．

まとめ： 情報の教職の資格をとりたいのなら，大学の工学部，理工学部などにある情報科学科，情報工学科，知能情報工学科などという名前のある学科で，資格欄に高校「情報」，高校「数学」，中学「数学」などがある大学を強くお勧めします．
以下に数学をとれるＷｅｂを載せます．同様に情報も調べられます．
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/03/02/1287056_1.pdf

教職は，通常は公務員としての採用（私学は別だが）をめざし，縁があれば私学にというの就職活動としてはお勧めです．公務員採用試験は，大学名はかんけいありません．いかに公務員の採用試験に高得点をとるかが重要です（もちろん，次には面接もあるのでこれも重要です）．数学に関しては，教育大では中学の教員の資格しかとれないところもあります．これは，数学に関しての深さが違うので，やはり，理学部，工学部，理工学部などで，将来，中高のどちらを選んでよいように両方取れるところを選ぶとよいでしょう．ただし，教育大でも大学院までいけば高校の数学の免許をとれることは普通のようです．

私自身は大学の教員で，中高の数学や情報の免許も持っていません．教職単棟でもなく，情報の専門科目の担当なので，この回答もざっとかいたので一部に間違いや勘違いを含んでいる可能性もありますし，私見も含んでいます．あとは，自分で調べてオープンキャンパスなども利用するのがお勧めです．

では