「精神科医」になるためには、まず医師にならなければいけません。 医師になるには医学部に入学する必要があります。 第一の関門は大学入試のクリアーです。 これを難しいと考えるかは人それぞれでしょう。 (現在中学生でしたら、地域で一番の進学校を目指してください) 大学に入学すれば、医学部の授業を受けます。 世間ではあまり言われませんが、医学部というのは進級も過酷なものです。 勉強して医学全般について必要な知識を習得し、解剖や病院での実習もこなし、 何とか一つ一つクリアーしていく必要があります。 第3の関門は医師国家試験です。 合格率は9割ほどありますが、それは医学部6年間懸命に勉強し、 厳しい進級をくぐりぬけてきた学生しか受けられない試験での9割です。 学力はもちろんですが、体調管理にも気をつけてこれもクリアーする必要があります。 ここまで来て初めて「研修医」になることができます。 現在では研修医となったら、メジャーな診療科目のあらかたに在籍し、基礎的な診療技術を取得する必要があります。 内科・外科・救急・小児科… 24時間365日体制に近い状態で働き、時間があれば勉強するような生活を送る必要があります。 (最近の研修医は多少は楽になったようですが) 2年ほどのこの生活を終えて、やっと専門科目を選ぶことができます。 ここで初めて精神科という診療科に入る(多くは医局に入局する)ことができます。 どんな科でも同じですが、まず専門科に入って必要なことは、その科の最も重症な疾病、緊急な疾病の加療法を学ぶことです。 精神科では、急性発症の幻覚妄想患者の対応(いわゆる精神科救急)がそれにあたります。 世間ではあまり知られていませんが、精神科救急は、例えば覚せい剤中毒患者が暴れて、警察に通報され、警察から病院に対して精神障害の疑いありと判断された場合、鑑定をはさんで、病院へ緊急入院依頼があるという流れで行われています。 このような入院加療は大型の中核精神病院で行われていますので、そのような職場に就き、やはり24時間300日体制で 精神運動興奮状態にある患者の急性期の入院加療に従事し、実力を得なければいけません。 少なくて、約5年から10年ほどこのような生活が必要となります。 こうして精神科での最低限必要な医学的な実力を得た(精神科患者に対して強制的な加療を行うことができる資格:精神保健指定医を取得します)後、初めて精神分析、精神生理学、社会精神医学、司法精神医学等の専門について学ぶような生活ができるようになります。 特定の師匠について勉強し、数年経って実力をつけられたら… ここで初めて一人前の精神科医になることができます。 好きなところで働いたり、開業したりするのも自由になるでしょう。 知識の乏しい人間には、精神科医が「お悩みごと相談員」のような仕事と誤解されることがありますが、実態は全く違います。 急性期加療では、基本的に暴れるほどの錯乱状態の患者の相手をして、医学的な加療を行い、寛解まで導くことが最も多いケースです。殴られたり蹴られたりする可能性は高く、体力が必要です。 また精神科入院患者の身体管理、救急診療も行いますし、他科入院患者の興奮や、絶望状態の対応も行います。 特に脳機能の障害、妊娠等の生理的変化、糖尿病等の代謝性疾患に基づく精神症状は重要ですから、全身状態を把握する能力も求められます。 急性期病院では、仕事の忙しさは他科と変わらないものですし、逆に報酬は他科よりも低く抑えられています。 特徴として、いくら正しい加療を行おうと、疾病の治療が成功したという結果を出してすら、患者からは感謝されることは少なく、むしろ逆恨みばかりうけることが多いです。(本人の同意がないまま治療することも多いし、無理難題(「彼氏に振られたから落ち込んだ」という「病気」を治せ)を押し付けられることも多いのですから当たり前ですが…) 損得で得と考えられることが少ない仕事ですから、これらの悪条件がありながらも、それでも自分は精神科医になりたいという信念がなければとても勤まらないものです。 …海外での他国人の精神科医需要はほとんどありません。 語学の問題だけでなく、「本当に悩んでいる時」に、'あえて'文化が異なる他国人の医師に相談したいと思う理由がないからです。
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