マンション管理士過去問について

Question

マンション管理士過去問について平成２０年問２９肢２

バルコニーの漏水の調査のため、管理組合がバルコニーへの立入りを求めた場合、専用使用権者は正当な理由なくこれを拒否する事ができない。

が立ち入り拒否不可で、

平成２１年問３０肢１

通常の使用に伴うバルコニーの管理について、理事長がその状況を調査するために専有部分及びバルコニーへの立入りを請求した場合。

が立ち入り拒否可の理由を教えてください。

補足

標準管理規約２１条但し書きは管理の”負担”についての条文じゃないですか？

回答者様の理屈でいくと、ベランダを荒れ放題にしても”掃除は個人の管理だ”といって拒否できるんですか？

その時は６７条はどうなります？

Answer 1

二つの問題の前提、すなわち立ち入りの目的が違うことにご注意ください。

前者の場合は、「バルコニーの漏水調査のため」となっています。漏水調査のためというのは、そのバルコニーだけの問題ではなく、その上階または下階の問題でもあるわけです。たとえば、上階の水が下階に漏れたという場合です。これは、上階と下階の間の軒天に亀裂が入っている可能性があるということなので、専用使用権者の通常の使用に伴う管理の範囲を超えていることになり、標準管理規約２３条１～２項が適用されます。つまり、管理組合は当該バルコニーへの立ち入りを求めることができ、その専用使用権者は正当な理由なくして拒否できないことになります。

後者の場合は、「通常の使用に伴うバルコニーの管理」という前提がついていますので、言うまでもなく、標準管理規約２１条１項ただし書きの規定が適用されます。すなわち、専用使用権を有するものがその負担と責任において管理することになっているわけですから、いくら理事長（管理者）が立ち入りを求めても、「通常使用」である限り、専用使用権者は立ち入りを拒否できるわけです。

【補足】
つまらない解説をしてしまい申し訳ありません。もっと具体的で面白い解説はないものかと工夫しました。

たとえば、マンションの１室に若くて美しい女性が一人で住んでいたとします。そこへそのマンション管理組合理事長（おっさんです）が訪ねてきて、「バルコニーを点検させて欲しい」といいました。その女性が理由をたずねると、「下階の人からバルコニーの軒天から水が漏れているとの苦情がありました」とのことです。この場合は、この女性は正当な理由なしに立ち入りを拒否できません。

今度は、同じマンションで同じ女性のところへ例のおっさん理事長がまた訪ねてきて、「バルコニーを点検させて欲しい」といいました。女性が「今度は何ですか？」と尋ねると、そのおっさん理事長は「洗濯物をきちんと干しているかどうか点検するのです」と目をぎらつかせて言いました。さて、この女性はこの立ち入りを拒否できるでしょうか？ もちろん拒否できます。なぜなら、洗濯物を干すのはバルコニーの通常使用の範囲内のことだからです。

【補足】
「負担」という言葉の意味をよくお考えください。これは何も「費用の負担」という意味だけではありません。「掃除をする」のも「負担」です。さらに言えば、「義務を果たす」とか「責任を持つ」という意味です。それは２１条関係のコメントをお読みくだされば分かると思います。ですから、掃除はやはりしなければなりません。

しかし、掃除をしなかったからといって、それで近隣に迷惑がかからなければ、もちろん立ち入りを拒否できます。もっとも「荒れ放題」がどういう状態を指すのか具体的には分かりませんが、たとえば、それで近隣に悪臭などの迷惑がかかれば、通常の使用の範囲を超えているので、正当な理由がなければ、立ち入りを拒否できません。もちろん６７条にのっとって是正勧告を出したり法的措置を執ったりすることもありえます。