解決済み
大学で工学部の機械工学科や電気電子工学科卒の方は、PanasonicやSONYやTOSHIBA etc...では実際どのようなことをやっているのですか?仕事内容を聞かせてください。
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私は電気電子工学科を20年以上前に卒業し、大手電機メーカーの研究所に数年、同工場の開発に数年、現在は通信機器メーカーの開発部門管理職の者です。専門は化合物半導体です。 研究所で研究職と、工場で設計開発は、本質的に同じで、R&D(研究開発)と言われます。研究と言えども民間企業では純粋な学術研究ではなく(日立基礎研、SONY中研など一部除く)あくまで事業と利益に結びつく研究です。研究所では3~10年先の製品化を目指し基本型(プロトタイプ)を試作する、それを工場に技術移管すると工場では今年、来年の製品化に向けて開発(詳細な設計)を行う訳です。当然両者で人の交流は盛んです。 研究所での業務の柱は、 特許、(社内向け)研究レポート、学会発表と論文投稿、技術移管です。 仕事の流れは、 研究テーマを決める→特許を執筆し提出する→実験、試作を進める→評価結果を纏める→(社内向け)研究レポートを提出する→国内学会発表する→国際学会発表(査読アリ)に応募する→論文投稿する→工場に技術移管する、ですね。学会発表する前には、必ず関連特許を提出しておかねばなりません。私が所属していた研究所では、特許、研究レポートは各1~2件/年が最低ノルマです。 学会は、半導体および光通信関係の研究でしたから、先ず電子情報通信学会、応用物理学会に投稿していました。これらは「査読なし」で、修士学生からの発表も見られます。ここで優れた内容だと認められれば、国際学会に挑戦します。「査読あり」なので、落ちることもあります。光通信関係ではOFC(Optical Fiber Communication Conference)、ECOCなどが有名で、私はOFCに2回アクセプトされ、そのうち1回は横浜パシフィコで発表しました。論文はElectronics Letterに2回、投稿したことがあります。 学会を通じては、同業他社のエンジニアや大学研究室との技術交流もあり、楽しいですよ。 私の会社は、入社して2年間は研修期間で、先輩社員が指導員として付きます。2年後に、幹部の前で研究成果を発表する機会があり、これで一人前と認められるのですが、緊張しましたね。「特許なんて書けるかな」と思われるかも知れませんが、私の会社では入社時に特許教育があり、執筆方法を教えてくれます。 その後、工場の開発部門に異動しました。仕事の内容は大きく変わらず、特許、研究レポートはノルマです。ただし、学会発表や論文執筆については、奨励はされますが、納期が逼迫している場合は無理です。 製品開発は「研究所で試作されたプロトタイプを製品化すること、その際に問題となる品質の安定性、製造コスト、サイズ、使い易さ、等を考えた最適設計を実現すること」です。私の会社では一つの製品(開発テーマ)に対し、2~3人で開発チームを組んで、1~3年程度の期間、取り組むことが多いです。化合物半導体関連でしたから、だいたい半分はクリーンルームで実験、半分は自席でデータ纏めとレポート作成、という感じでした。 工場では新製品の開発のみならず、量産品の品質改善や、不良対策にも取り組みます。社外不良を起こしたり、最悪リコールに繋がる不具合を起こした場合は、大変忙しくなります。 研究所では実現しようとする技術的ハードルは高いが数年先を目指してじっくり取り組める、工場では製品化時期、性能、売り上げ、シェアを他社と争うため非常に忙しくなる場合もあります。 私は両方を経験しましたがどちらも楽しいですよ。工場では自分が担当した製品が世の中で認められることが一番です。現在、私が開発リーダーを担当している、ある特殊な光半導体デバイスは技術的に難しいもので、国内3社が世界の90%以上のシェアを持っており、我が社とライバル社がトップ争いをしています。 現在は通信機器メーカーの開発部門の管理職(開発テーマリーダー)です。 現在の仕事は、①研究開発計画作成、②課の予算管理、③開発チームの取り纏めと、幹部への進捗報告、などです。 ①は開発予算を確保するために必要です。開発に必要な予算、期間、期待される利益、を算出し、回収計画(何年で元が取れるか)を出します。回収期間が長すぎると、却下されます。 ②は開発予算の管理のみならず、残業予算や、事務費など全てです。 ③は毎月1回、課長職以上のみ出席する、幹部報告会があります。幸い、現在はチームの開発が概ね上手く進んでいるので良いのですが、数年前は大幅に遅延していた時期があり、この時は毎回、胃が痛くなる時もありました。 管理職となった現在も、開発テーマの取り纏めとして「チーム一丸となって取り組んでいる」という実感がありますし、他社とのシェア争いも熾烈なので、仕事としては面白いですよ。 技術職(研究、開発)は、技術や科学が好きな人にとって素晴らしく魅力的な仕事です。興味があれば、是非挑戦してみてください。
なるほど:16
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