アシスタントがどれくらいの技量を必要とするかは アシスタントマッチングサービスのGANMOなどを覗いてみると、 漫画家がどのくらいを求めているか、 アシスタント応募者が どのくらいのサンプルを描いているかを確認できます。 https://ganmo.j-comi.co.jp/posts --- 漫画家の約9割がデジタル制作。半数以上は3Dを活用 ―漫画家実態調査アンケート― https://mannavi.net/14929/ これはTwitter(X)で活動している漫画家を対象とした調査なので ある程度差し引いてもいいとは思いますが、 現在の漫画業界では何らかの形でデジタル環境を導入しています。 ペン入れはアナログだけど仕上げやデジタルとか、 背景だけデジタルとか、全部デジタルとかをひっくるめると この調査の暗数を考慮しても7割くらいはデジタル環境です。 なので、アシスタントをするのであれば現在であれば 特にクリスタが使えることが望ましいです。 GANMOの要項などを見ても、 デジタルの現場は9割はクリスタが使えることを条件にしている感じです。 --- 背景を全て描き起こしているかどうかについては それぞれの現場によります。 漫画家さんのアシスタント募集の要項などを見るとわかりますが、 「背景を資料で描き起こしで描けること」とか、 「パース理解のある人」とか書いている場合は 当然しっかり描き起こせることを前提とした募集です。 現場によっては3Dモデルのクリンナップだけというケースも ありうるでしょうが漫画の背景を全て3Dだけで 出来る漫画の方が少ないので、 ある程度基本的な作画能力は出来たほうが良いです。 線画抽出やトレースなどについても同様ですね。 連載の現場ではそういった時短や省力化も良くありますが、 全てをそれだけで賄うことは難しいので、 ある程度は描ける人を優先的に採用される傾向が強いです。 またサンプルの提出の際には大体どのようにして描いたかを記載します。 資料を見て描き起こしたのか、写真や3Dのトレースやクリンナップなのか、 かかった時間はどれくらいかをサンプルとして提出や掲載します。 ここで嘘をついて万が一採用されても 結局仕事では期待している作業で使い物にならないので 次からは呼ばれなかったりしますし、 横のつながりで「ヤバいアシ」として 周知され警戒される可能性があります。 (ちなみにアシ側でもちょこちょこ「ヤバい現場」が周知されたりもします) GANMOの募集でも「お試し期間」を設けてる漫画家が多いのは 度々そうやってアシスタントへ応募する人が実際に居るからです。 --- アシスタントになりたい場合、 採用する側の気持ちになって考えてみるとよろしいかと思います。 大昔の漫画業界では徒弟制度みたいな、 いわゆる師匠と弟子的な関係もありましたが、 現在の漫画業界でのアシスタントは基本的に 「締め切りに間に合わせたり、想定する描写を実現するための戦力」を 募集しています。 つまり0からアシスタントを育てようとする 漫画家はほとんどいないわけですね。 クリスタを使ってデジタルアシスタントになることを考えると、 ・クリスタの基本的な機能が理解できる。 ・パース定規、3Dの基本的操作が理解できる。 ・トーンや効果線など仕上げが出来る。 辺りは最低限理解していたほうが良いです。 当たり前ですが、トレースしか出来ないのであれば、 そもそもそういう募集がないと採用されませんし、 基本的には作画ができる人・経験者が優先されます。 可能なら ・渡された資料を元に描き起こしが出来る。 ・パースに理解があり、階段や坂道もしっかり描ける。 ・何かしら得意な分野がある。(モブ、自然物、西洋建築、モンスター等) といった部分もサンプルでアピールできるとより良いです。 トレースは誰でも出来て当然ですが、 「ふさわしい線」を描けるかどうかは技量も必要です。 線をどのくらいの太さで描くべきか、強弱はどうするか、 立体的に見える背景はどの様に描かれているかをよく観察しましょう。 作画にかかる時間についてもサンプルには正直に記載しましょう。 もちろん早くて上手いほど即戦力になるので採用はされやすいですが、 嘘をつけば現場で信頼を損ねてしまいます。 他にも他人のサンプルを剽窃し応募する人などもたまに居ますが、 「入ってしまえばこっちのもの」というのは その後内々でブラックリスト入りにされることを考えると 非常にリスクが高いのでやめましょう。 また応募要項によく記載されていますが、 「円滑なコミュニケーションがとれること」 「責任感がしっかりある人」というのも大事です。 わからないことがあったらしっかり言語化や図解で説明できることは、 アシスタントに限らず非常に重要な、でも案外出来ない人もいる能力です。 アシスタント未経験者が採用されたいあまり、 「無報酬でもいいので使ってください」とか書いてる人もたまにいますが、 自分は責任を負わない宣言なのでほぼ確実に採用されません。 (仮にそんな条件で採用したら漫画家も法的問題が生じます) --- サンプルをまだ描いたことがないのであれば、 いくつか例示しておきます。 (現場ごとにサンプルの指定がある場合もあります) ・学校や住宅街、商店街や駅前など。 現代劇は漫画の舞台になりやすい+外観であれば基本的な立方体なので パース定規が使えれば比較的容易に描けます。 教室などの内観も描けたほうが良いですが、想像するよりかなり大変です。 モブなどは得意不得意が分かれますが、 ベタを上手く使いながらシルエットで捉えてみるといいかもしれません。 ・ファンタジーに良く出てくる西洋建築、城、屋敷など。 最近は異世界ファンタジーの隆盛もあり非常に作品数が多いため、 募集の数も多いのでこれが描けるだけで現場にほぼ困りません。 アニメの背景美術や書籍等でも資料を集めやすいため結構オススメです。 街などは見かけ上の面倒臭さに対して作画難易度も比較的少なめですが、 城や城塞などの描き起こしは大変な方ではあります。 レンガやタイルなどはパターン素材を用意すればある程度流用できます。 ・自然物 あらゆるシーンで登場している木々や山や森、川などです。 現代モノでも高頻度で街路樹や茂みなどはありますし、 そうでなくても自然物は良く出てくるので これらを描けるのは基本的なスキルとして身につけておくといいです。 葉っぱのディテール等を要求されるシーンでは 基本的な画力も要求されますが、 中景・遠景あたりであればパターンブラシを駆使することで ある程度簡単に描くことが出来ます。 ただしあまりにもパターンブラシっぽさが出ると背景が弱くなります。 ・3D 3DをただLT変換して線をくっきりさせるとかトレースするだけだと 誰でも出来るのであまり評価対象にはなりませんが、 例えば特定の車種の車を3Dのアタリをベースに描き起こせるとか、 3Dプリミティブの機能が使えて 頻出するロケーションのアタリが作成できるとかであれば 十分評価対象だと思います。 また3Dを使用したサンプルを使うのであれば、 例えば同モデルを使用した別アングルの作画などもセットで載せれば、 「この人はちゃんとクリスタの3D操作ができるな」と アピールすることも出来ます。 --- 背景の細かい注意点 ・「面」を表現できるか。 背景を描く場合、例えば「部屋の壁と天井」の主線だけなら 誰でもパースに合わせて描けますが、 そこにタッチやトーンワークなどで しっかり面を表現できたほうが良いです。 例えば室内の部屋の角をただYの字みたいな簡素な線で描いても 「使える背景」にはあまりなりません。 (もちろんそれが合う作品もありますが) ・透視図法、画角などに理解があるか。 一点透視、二点透視、三点透視で背景が 描けた方がいいのはもちろんですが、 例えば絵が描けない人の一点透視や二点透視などを見ると、 画角がめちゃくちゃなことがあります。 一点透視の背景が異常に奥行きがありすぎていたり、 建築パンフレットみたいなやたらと広角気味の絵ばっかりだとか。 単にパースに沿っている=パース理解があるというわけではないので、 基本は自然な見た目になるような背景が描けることが望ましいです。 ・レイヤー構成をきちんと整理できるか。 アシスタントは修正指示を受けて直すこともよくあります。 チェックしてもらう時は一つのレイヤーでも良いですが、 例えば「こっちのオブジェクトをちょっとずらして欲しい」 という指示もあるため、そういう対応が しやすいレイヤー構成が出来ると結構便利です。 ベースの背景とオブジェクトをレイヤーフォルダなどで 分けて作業できると対応しやすいと思います。 ・コントラストを上手く使える。 ベタによるメリハリや トーンのコントラストを上手く使えることは重要です。 例えば隣り合うトーンが61と62のように 濃度が近いとぱっと見ぼんやりした印象になります。 背景はキャラクターと隣接することも多いので、 それらの濃度と区別がつくように画面全体の濃淡を意識しましょう。 文字制限もあるので参考になりそうなものも 追記でいくつか挙げておきます。
プロのアシスタントというのは本当に例外で、ここに描いてくれと指示されたら建物でもメカでも、資料を見ないでもなんでも描ける技術が要求されます。 一般にアシスタントは、プロの漫画家を目指す修行中の人が大半です。新人賞などを取っても、即、連載できるだけの技術を持ってない人が大半です。 だから、アシスタントとして漫画で給料をもらいながらプロの現場で修行をさせてもらうのが普通の漫画のアシスタントです。 だからあなたのように、プロの漫画家になる気はないけどアシスタントだけやりたいという場合は、最初に書いたように最初から「なんでも描けます」という技術が必要になります。 そうでなければ、プロの漫画家が未熟なアシスタントを雇う理由がありません。 プロの漫画家は、自分の未熟な時期があったことを覚えてるから、プロを目指す未熟な新人をアシスタントとして雇ってくれるのです。
最初からアシスタントになろうとしてアシスタントになる人ってほとんどいません。 つまり、アシスタントに必要な技能は「漫画を描く技能」そのままです。 ただし、一部特殊なアシスタントもいます。 メカや兵器など専門的な知識が必要なものだけ描くとか、3DCGの専門家とか。
アシスタントは漫画家によって求める技術や技量は違います。背景が描けない人に頼むことはありません。できることを頼みます。ですから、アシスタントも出来ないことをできると言って応募しないでください。 背景やモブを描くアシスタントをやりたいなら、当たり前ですがひたすら練習することです。漫画家によってはトレースでいいと言う人がいる一方でちゃんとパースをとっていちから全部描いてくれと言う人もいます。それに漫画家の画風に合わせなくてはいけません。 ファンタジーなど、資料もろくになかったり、全くない場合は大変な作業になります。 背景を描くアシスタントはかなり優秀ということになります。 資料を見てひたすら練習ですよ。 最近はアナログの需要はほぼないので、デジタルで作画ができるようにしてください。ただ一方でアナログアシスタントは不足とも捉えられるので、アナログでできれば採用率は高いです。募集件数は少ないですが。
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