現在の弁護士法は、戦後間もなくの頃に制定されたのですが、その頃の弁護士は、戦前に行われていた弁護士激増政策の影響により、社会的・経済的地位が著しく低下しており、日本が真の法治国家となるためには、法の担い手たる弁護士の社会的ステータスを何とかして回復させる必要があるという問題意識がありました。 そのため、弁護士資格は法律系資格の最高峰と位置づけられ、弁護士は弁理士や税理士の仕事も、当然に行うことが出来るものと法律で定められました。こうした法制度に、弁理士や税理士の業界からは当然強い反対があったのですが、当時の弁護士業界はGHQからの強い後押しを受けられたらしく、そうした反対論を何とか押し切れたようです。 もっとも、昭和の頃の旧司法試験には、論文試験で教養選択科目というものがあり、その中に会計学も含まれていたのですが、現在の司法試験に会計学の科目はありません。租税法の選択科目はありますが、会計学の知識が不要な問題しか出題されないため、租税法の選択科目を勉強しただけでは、税理士業務に必要な知識を得ることは出来ません。そのため、弁護士が税理士の業務を数多く行っていると、国税庁から名義貸しの疑いを掛けられることがよくあります(笑)。 そのため、税理士業界から、単に弁護士の資格を持っているだけで税理士登録できることや、弁護士が税理士の業務を行う旨の届出をしただけで税理士の業務が出来るとされていることに対する批判の声は当然あるのですが、こうした制度を廃止することにより弁護士の社会的ステータス低下を認めてしまうと、政府の肝煎りで導入された法曹養成のための法科大学院制度が危機的状況に陥ってしまうので、今でも弁護士が弁理士や税理士の業務を行えるとする現行の法制度を廃止しようとする具体的な動きは特にありません。 結論としては、まともな制度趣旨など最初から無く、多分に政治的な理由です。
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弁護士は、法律に関する仕事を全てできるからですね。 税金の関係でも、裁判になると税法の解釈が問題となるので、そうなると弁護士が扱う範疇の問題になります。 労働法も、社会保険労務士という専門家がいますが、やはり同様の理由で弁護士は社労士試験受けなくても実務経験がなくても社労士登録ができます。
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