会計士事務所を経営しています。監査法人・税理士事務所での経験もあります。 監査は企業の財務諸表を調査して適正に作られているか判断する仕事です。公認会計士の独占業務として定められています。不正を見抜くのにAIは役立つでしょうが、最終的には監査法人が責任を持つため会計士の仕事を減らすことは難しいでしょう。それ以外の様々な部分でシステム導入・デジタル化を進めていますけどね。紙ベースの資料ばっかりで、それを人間が手作業で紐づけていく地獄の作業です。できればもっとIT化が進んで欲しい部分です。 会計ソフトの普及に伴って経理部門も監査法人も手間が減るのかと思いきや、実際には業務量が増えました。新たな規制・手続き、たとえば減損会計や退職給付会計が導入されました。IFRSを全上場会社に原則適用するような方向性も示されています。AIによってできることが増えれば、もっと企業経営・内部統制に役立つように会計基準が複雑化するでしょう。 税理士の仕事は汎用型AIができればもっと楽になるかもしれません。税務の代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務として法で守られているため、AIを利用した税理士が市場で有利になります。 私の会計士・税理士としての業務は殆どが人付き合いとコンサルティングです。顧客から仕事になりそうな話、たとえば不動産購入・相続とか、補助金の対象になりそうな新規雇用・設備導入などを探ります。そのうえで制度上有利になる方法を教えるわけです。既に顧客企業・経営者の帳簿は把握しているので、書類のほとんどを準備したうえで説明したり署名捺印してもらったりします。 AIにできる範囲は大いに増えてほしいです。現在の会計士・税理士は会計Aを使う専門家に転身して容易に生き残るでしょう。
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