銀行の信用創造について質問です。

Question

銀行の信用創造について質問です。A銀行が起業家に１００万融資した
とします。

A銀行の仕訳

貸付金１００万/預金１００万

起業家が預金１００万をB銀行へ振込

A銀行の仕訳

預金１００万/日銀当座預金１００万

日銀の仕訳

A銀行当座預金１００万/B銀行当座預金１００万

B銀行の仕訳

日銀当座預金１００万/預金１００万

になると思うのですが、
A銀行に日銀当座預金勘定残高が
１００万なかったらどうなりますか？

Answer 1

銀行間の決済には「時点ネット決済」と
「即時グロス決済」の二つがあります。
「即時グロス決済」とは
納税者が政府へ税金などを納付する際、
及び、預金者が
他の銀行の預金口座への1億円以上の送金を
指示した場合に取られるもので、
この場合には、送金を実行する時点で
日銀ネットで銀行の預け金が
送金額と同額、動きます。ご質問の例は
金額は少ないけど、
即時グロス決済ですね。

これに対して、小口の銀行間の送金ですが、
これは送金指示があるたびに、
日銀預け金で銀行間の送金を
行っているわけではなく、
1日に、確か4回だったと思いましたけれど、
まとめて送金するやり方です。ただし
この時には、決済のため、
送金先の銀行に送らなければならない額と、
逆に、自行に開設された口座への送金の
受取もあるわけですから、
その両者を相殺した後で、
帳尻だけを送金しあっています。ですから
実際に必要な日銀預け金の額は
預金者の指示によって行われる送金額より
はるかに少額で済むわけです。
(ですから、公務員の給料日や
公的年金の支給日には、
日銀預け金と預金が同時に同額急増しますから
銀行は決済には必要ない過剰な
準備を金を抱え込むことになります。)

さて、いずれにしても
決済額が不足する場合、
一般的には、
不足額を次の決済まで繰り越す
（送金しなければならない銀行が
送金を受取る銀行に
資金を借りる)、
インターバンク市場で資金調達する、
日銀から借り入れる、
といったやり方が考えられます。

日銀から借り入れるやり方では、
現在は、あらかじめ日銀にまとまった額の
国債を担保として差し入れておき、
そしてその額を上限として、
日銀当座預金口座の残高の上限を超えても
日銀が立て替え払いする（預金口座の
残高はマイナスになる）というやり方
（「当座貸し越し」「ロンバート型貸し付け」
などという言い方をします)が
とられるのが普通のようです。
これだと銀行は残高不足になることが
はっきりした時点で、事後的に
借り入れれば事足りるので、
残高不足が貸越枠の範囲に収まる限り
決済ができなくなる可能性がなくなり、
銀行間の取引が大変スムーズにいきます。
昔は、銀行はあらかじめ不足しそうな
金額を計算して、日銀に手形の再割引などを
申し込まなければならなかったんだそうです。
この場合、事前の計算に失敗して
資金調達額が不足する可能性が
低くないですし、
日銀側は日銀側で、
銀行手持ちの諸資産を開示させ、
いろいろイヤミやら嫌がらせやら
散々だったらしく(当時はインフレ撲滅のため、
日銀はなるべく銀行に融資をしないようにしていた)、
それがいろいろ
接待行政やら不明瞭な取引やらに
つながった、とも言われたんですけれど、
さてさて、、、、

インターバンク市場で不足資金を
調達する場合、
すべての銀行が同時に資金不足に陥る可能性が
あるようなケース（例えば
連休の直前で、預金者が
一斉に預金の払い戻しをするため、
銀行の準備預金が不足してしまうようなケースや
納税が集中する時期など)では、
すべての銀行が一斉に資金需要者になりますから
インターバンク市場で金利が急上昇します。
この場合、残高不足に陥った銀行は
単に金利が高いだけでなく、
決済ができなくなる可能性が出て来ます。
こうした場合、日銀が
公開市場で匿名で買い介入をして
市場に必要な資金を供給し、
金利の急騰を抑えます。(逆に、
連休明けで銀行へ現金が
大量に持ち込まれるようなケースや
公務員の給料日、公的年金の支給日などでは
インターバンク市場が資金の出し手ばかりに
なってしまいますから、
金利が急落します。そうした場合、
日銀が公開市場で売り介入をして
金利を下支えしています――といっても
今はゼロ・マイナス金利ですし、
超過準備に付利もされているので
実際には、昔のようには
行われていないようですが。)

まあ、今はどの銀行も
莫大な超過準備を抱えていますから
すべての取引が
即時グロス決済になっても、
資金不足の銀行ってのは
(地方経済自体が
資金出超で、入金が全然
ない、とでもいうのでない限り)
出てこないんじゃないでしょうか。