はい。人間の細かい奥底の感情まで読み取れる人工知能が完成したら、完璧な自動翻訳が実現し、通訳は一切必要なくなる可能性が高いです。 例えば、人間の細かい奥底の感情まで読み取れると、次のようなことが可能になります。 (1) 前の店で待ち合わせしよう。 これを英語に直すときに、「前」が「先日の」という時間的意味か、「目の前の」という空間的意味か、話者がどっちの意味で言ったかを人工知能が判定します。また、「店」が shop なのか、store なのか、supermarket なのか、department store なのか、grocers's なのか、それとも実は飲食店で、restaurant なのか、cafe なのか、そういったことも人工知能が判定してくれます。当然、飲食店でも、話者の頭にあるのがマクドナルドなら、hamburger shop のように shop になったりします。これがどんな店なのかは、会話の当事者の頭の中を覗く以外に分からないわけですが、人工知能は、会話の当事者がどんな店の話をしているのか、文脈もなしに(1)の文を単独で一文だけ見たり聞いたりしても、これを発した人の頭の中まで分かります。 (2) もうやったん? これは、親が子どもに宿題が終わったか尋ねているのか、男同士の会話で、もう特定の彼女と性行為をしたのか尋ねているのか、そもそも誰とでもよいから初体験をすませたか尋ねているのか、どれでしょうか? 人工知能は、(2)の文を文脈もなく単独で見たり聞いたりしても、会話の当事者の頭の中を覗いて、どの意味で言っているかが分かります。 (3a) ごはん、食べた? (3b) ごはん、炊けた? ここでは、(3a)では「ごはん」 は breakfast なのか、lunch なのか、dinner なのか、とりあえず meal でよいのか、それとも、そもそも米の意味で rice なのか、普通ははっきりしません。しかし、人工知能は、文脈もなしに、この一文を見聞きすれば、話者がどの意味で言ったかがすぐに分かります。また、(3a)では、ごはん「を」食べたという意味であり、(3b)では、ごはん「が」炊けたという意味であることも、人工知能が瞬時に判断してくれます。ちなみに、(3a)では、きっと、「あなたはご飯を食べましたか」という意味であり、主語の you か何かを英語では補う必要があり、それも人工知能がやってくれます。当然、この you は(3b)では不要であり、人工知能はそれも朝飯前にやってくれます。 (4a) 納豆、嫌い。 (4b) 私、嫌い。 これも、(3a)(3b)に似ています。(4a)では、きっと、「私」が納豆を嫌いなので、 人工知能が I を補って英訳してくれます。一方、(4b)では始めから I が登場します。この2つが違うのは、(4a)では、納豆のことを嫌いなのに対して、(4b)では私が何かのことを嫌いという可能性が高いということです。しかし、(4b)では、私が私のことを自分で嫌いと言っている可能性も捨てきれません。そこで、人工知能は、それがどっちの意味か、頭の中を覗いて判定してくれることになります。 (5) I talked about a sex with her. これは、セックスというものについて彼女と話したのか、彼女とのセックスについて誰かに話したのか、はっきりしません。しかし、人工知能は、話者の頭の中を覗いて、どっちの意味なのか瞬時に適切に判断し、どちらなのかかがはっきり分かるように和訳してくれます。 (6) きょうこのへやではなしあおう。 この日本語を聞いた人工知能は、「今日この部屋で」なのか、「京子の部屋で」なのか、「恭子の部屋で」なのか、話者の頭の中を覗いて、きちんと区別して英語に変えてくれます。 (7) It's too hot! これを人工知能が見聞きしたときに、夏の暑い日に「暑い!」と言っているのか、コーヒーの飲んで「熱い!」と言っているのかも、人工知能はこの発話をした人の頭の中を覗いて、どっちの意味なのかきちんと区別してくれます。 (8) あいつ、むかつくよな。 これも、「あいつ」が男か女か、話者の頭の中を覗けば分かることであり、それに応じて人工知能は he にしたり she にしたりしてくれます。 (9) 彼女と映画に行った。 この場合の「彼女」が代名詞の her のことか、「恋人」の意味で my girlfriend なのかも、人工知能が頭の中を覗いて適切に英訳してくれます。 (10) 神ってる。 これは、たしか昨年の流行語ですよね。これを、野球選手がヒーローインタビューで言えば、それまでこんな言葉を聞いたことがなかった人々が、きっと全員意味が分かったはずです。これを聞いて、その場で「『神ってる』ってどういう意味だ?」とスマホや紙の辞書を取りだして意味を調べた人は1人もいなかったはずです。当然、人工知能も、それまで「神ってる」なんて言葉を見聞きしたことがなくても、話者の頭の中を覗くことで言っている意図が分かり、それを聞いた瞬間に意味が分かって何かうまい英語に直してくれます。 (11) 二国間の問題を解決しよう。 これが、例えば日本の首相とアメリカの大統領の間での会話だとします。ここで、「問題」が「1つしかないうちの1つ」なら the problem、「いろいろあるうちの1つ」なら a problem、「いろいろあるうちの全部」なら the problems、「いろいろあるうちのいくつか」なら some problems のように、人工知能は、会話の当事者の頭の中を覗いて、一番適切な訳をひねり出してくれます。 (12) オレには妹がいる。 もし、妹が1人なら a sister、妹が2人以上なら some sisters のように人工知能は名詞の単複まできちんと訳してくれます。もちろん、(12)の文を一文だけ単独で見聞きしても人間の場合は妹の人数まで分かりませんが、人間の頭の中を覗くことができる人工知能の場合は、この人には何人の妹がいるかまで分かり、それを訳に反映させたりできます。 (13) I have two brothers. この場合、brothers が兄なのか弟なのか、普通はさっぱり分かりません。しかし、これも、話者の頭の中を覗けば分かることです。人工知能は、話者の頭を覗けるので、兄か弟か、適切な訳をつけてくれます。 いろいろ書きました。今のところ、機械翻訳が奇怪翻訳になってしまっているのは、人間の細かい奥底の感情どころか、人間が言葉を発するときにどのような意図で言ったのか、その真意を読み取れないからではないかと思います。 だから、人間の感情や真意を読み取れる人工知能が出てくれば、翻訳技術が飛躍的に向上すると思います。 ただし、人間の感情や真意を読み取れる人工知能が身近に存在するということは、会社の上司に対して、 (14) いつもえらそうに言いやがって、このハゲおやじが! と思っているのに、口では (15) いつもいろいろ教えて頂いてありがとうございます。 と言うときに、(14)の気持ちまでバレてしまう時代になっているということでもあると思います。 人工知能の発展が楽しみですね。 以上、よかったら参考にしてください。
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