解決済み
教育系大学・学部の教科教育(学)担当教員について。 一昔前までは必須ではありませんでしたが、近年は必須になりつつあります。 少し詳しく回答しましょう。 昔は、現場経験は重視されておらず、現在約50歳以上の教科教育担当教員(1970〜80年代に大学へ採用)には現場経験を持っていない人が多く、年齢が上がるとその傾向はより強まります。1970年前後から、全国の国立大学の教育学部に大学院(修士課程)教育学研究科が設置されはじめ、教科教育学研究の素地が形成されました。1970〜80年代は、それら大学院(修士課程)を修了後に、研究者志望の若者は大学にある程度の職がありました。これが、現在約50歳以上の方々の時代です。 しかしここ数年、教科教育担当教員の公募条件には、現場経験と博士号取得が、「必須条件」または「好ましい条件」として必ず挙げられています。「必須条件」か「好ましい条件」かは、大学がどのような人材を望んでいるかによります。例えば、「博士号/必須、現場経験/好ましい」では理論寄り、「博士号/好ましい、現場経験/必須」では実践寄りの人材を求めていると言えます。しかし、後述のように博士号や研究業績を持っている現場教員が増え続けているので、数十倍〜百倍以上の競争が普通の大学公募で、教科教育の専門に関わる現場経験が「なし」では厳しいでしょう。 1990年代から2000年代にかけて、このように条件が推移した主な理由として、 「①現場教員の高学歴化・研究水準の上昇」 「②大学が教員の再教育の役割を担うようになった」 「③教育学研究において教育実践に寄与する成果が求められている」 の3点が挙げられ、これらは密接に関連しています。 ①大学院(修士課程)はストレート院生(学部後すぐに修士)だけでなく、現職派遣院生や休職院生、フレックスタイム院生など、学校現場の人間を受け入れています。さらに2000年代からは教職大学院が全国的に設置されました。結果、大学院修士レベルの研究能力を有した現場教員が大量に輩出され続けています。また、その中からさらに優秀な教員は、博士課程への進学、学会での研究発表(論文、口頭)などを行ない、博士号取得者や研究業績所持者も増えています。 もちろん、現場教員には上記のように優秀な人ばかりではありませんが、中〜上層を中心にその水準は上昇しており、最上層は大学教員になってもおかしくない人材が多くいます。近年の全国的な私大の教育学部の設置に伴い、現場から大学へ引き抜かれている教員もいます。 ②このように高水準の実践研究を行っている現場教員が出現する中、2000年代以降、大学は教員対象講座(教育委員会による依頼含む)の開設や免許更新講座などで、現場教員を大学教員が再教育する機会が劇的に増えています(特に教科教育担当者を中心に)。 ③人文・社会科学全般に言えることですが、昔は主流であった文献解釈学(多くは欧米研究の翻訳紹介)から、実社会との関わりから学問探究をし、成果を還元する必要性が問われています。教育学では、教育現場との関わりから教育実践に寄与する研究・教育が要求されており、多くの困難を抱える学校現場に対応した新人教員の養成と、現場教員の再教育を担うため、より教育実践に近い大学の姿が求められています。実際に多くの大学で、教育実習などをはじめとした学内・学部内のカリキュラム改革が行なわれています。 ここ最近は団塊の世代の大学教員の退職(定年65歳の場合)に伴い新しい教科教育学担当教員が募集されていますが、上記のような状況から、昔から求められた研究能力(博士号や論文業績など)に加えて、教育実践に関わる研究業績があるか、現場経験があるかが問われているのが現状です。そして30代半ばから40代の現場教員には、それらに応えられる人材が一定数存在しています。 もちろん、すでに採用されている教科教育担当の大学教員にも、現場経験の有無にかかわらず、学校現場への研究水準での関わりが必要でしょう。 長々と失礼しました。
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