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前後の文脈が分からないので何とも言い難いですが、要点こそ伝わるものの内容が曖昧で捉えにくいです。これは簿記の世界云々は関係ありません。 ・残高 残高という言葉は、預金口座だけでなく、社内の現金有高、商品有高、その他金融資産(他店商品券、有価証券など)有高といった、手元の現物資産の量に対しても使えます。「残高」だけだと、預金のことなのか現金のことなのか手元の商品のことなのか分かりません。 また、「残高」は帳簿価値に対しても資産の現在価値に対しても使われるため、「残高が変動した」だと「帳簿に修正が出た」のか「実際に資産が増えた/減った」のかも分かりません。 これに対し、相手が言う「預金に動きが出た」は、どの資産についての話なのかも、帳簿上の変動なのか実際上の変動なのかも明確です。 以下は、一般的な使われ方と簿記での使われ方が違う表現です。 ・収益・利益 この2つは簿記では明確に区別されます。数式で表すと「利益=収益-費用」です。一般には、簿記上の利益を指して収益ということもあるので、その感覚で「今期の収益は前期比15%増だ」などと表現すると、とんでもない誤解・混乱を招きます。経済番組や経済紙などの「増収減益」は「収益が増え利益が減った(収益の伸びよりも費用の伸びの方が大きかった)」ことを指します。「増収増益」「減収増益」「減収減益」も同様です。 ・割引・割戻・値引 一般にはセールなどで値引きが入ることを「割引」と言い、店舗やCMでもそのように表現していることが大変多く見受けられますが、簿記ではこれは誤用です。また、簿記では「割引」と「割戻・値引」は区別され、商取引では「割引」と「割戻」と「値引」が全て区別されます。 ①割引: 入出金が期日より大幅に早いか、前払金・前受金によって即座に相殺可能な場合に生じる債権債務の減少。仕訳上は「仕入割引」「売上割引」という専用の勘定を使う。 ②割戻: 大量に購入した場合に売主の裁量で生じる債権債務の減少。仕訳上は売掛金/売上または仕入/買掛金の減少で処理する。 ③値引: 値下ともいう。販売商品の付加価値が下がったなどの理由で生じる債権債務の減少。仕訳内容は割戻と同じ。 特に、「新商品の発売に伴い、古い商品の販売価格には処分品として20%の"割引"を設定した」など、値引の意味で「割引」と表現してしまうことはありがちで、これは仕訳の誤入力の元になります。言葉の使い分けが重要です。 ・現金 一般に現金は紙幣・硬貨を指します。簿記ではそれらに加え、通貨代用証券も含まれます。 ・利子・利息 これは一般的な用法とは逆で、「簿記では区別しない」ケースです。一般には「借主が支払うのが利息」「貸主が受け取るのが利子」ですが、金融機関(銀行)や簿記では全て利息といい、利子とはいいません。その代わり、自分が支払うのは「支払利息」、自分が受け取るのは「受取利息」といい、この2つは明確に区別されます。 この他、簿記関係なく、経理や商取引で曖昧に使われたり、齟齬が生じやすかったりする表現を挙げます。 ・単価・単位原価 収益と利益の区別と同じくらい、この2つの区別は極めて重要です。単価は「顧客に販売する時の商品1つ当たりの金額」、単位原価は「仕入先から購入した時の商品1つ当たりの支払代金」です。通常は単価>単位原価になります。例えば、倉庫の商品が汚損していたなどの理由で「汚損分を損失計上する」という意味合いで「棚卸の結果、"単価"を下げることにした」と言ってしまうと、「定価販売もできるけど値下げ品にするんだな」と解釈され、誤った仕訳につながってしまいます。正確に「棚卸の結果、"単位原価"を下げることにした」と伝えるべきです。 ・預り品・預り金(各々、預かり品・預かり金とも) どちらも手元にある現物資産ですが、会社的には債務(借金・負担)扱いです。そのため、顧客から債権に対する入金を受けた際に「お客様から10万円を"お預かりした"」などと伝達すると、「前受金を受け入れたのか?」「将来、振替が必要な取引が発生したのか?」「入金目的は何?」などと余計な混乱が生じえます。 ・試算・予算 試算は、将来発生する様々な金額だけでなく、会社の業態に応じて「1個当たりの生産時間」「変動費と固定費の区分」「出店数を増やした場合とそうでない場合の費用対効果の差」など、金銭面以外にも様々な経営要素を予測することを指します。現場よりは管理側・経営側に対する情報提供の意味合いが強いです。これに対し予算は、その試算のうち金額部分に基づいて設定される目標金額です。こちらは「今期の予算はこのくらいだからがんばってね」という現場に対しての指示の意味合いが強いです。あくまで予算は目標額・目安額にすぎないので「予算では1億9000万円の収益が見込まれる」という言い方は不自然です。「試算では1億9000万円の収益が見込まれる」であれば自然です。 ・正味価値(ネット価値) 一般には「諸費用・値引・税金、得られる収益などを含めた最終価値」とされることも多いです(温室効果ガス対策で唱えられる「ネットゼロカーボン」はまさにこの意味)が、簿記および商取引では「諸費用・値引・税金などを含まない、もの・サービスの本来の価値」とされます。最終価値の方はグロス(Gross)やグロス価値などとも言います。よって「正味価値を下げて利益率を改善すべき」などの提案は、「販路にかかる中抜き費用を圧縮しよう」といった意味には取られにくく、「品質を落としてでも材料の仕入値が安い業者に切り替えよう」とか「機械を増やして加工スタッフの人件費を減らそう」などという意味に取られてしまいます。 ・請求・返品・返金 一般的な会社では「仕入請求」と「売上請求」の2種類があります。「請求」だけだとどちらだか分かりません(多くは売上請求を指しますが)。この2つはお金の出入の方向が真逆なので、明確に伝えることが大変重要です。返品や返金も同様です。 ・売約・買約 どちらも音読みだと「ばいやく」ですが、取引の方向が真逆なのに読みが同じだと困るので、買約は一応「かいやく」と言います。ただし今度は「解約」と同じになってしまうので、売約・買約は素直に「売り約定」「買い約定」などと表現すべきです。 ・小売と卸売 一般には区別しない人もいますが、商取引では区別されます。最終消費者(お店やWebでものやサービスを買う人)と直接取引するのが小売、それ以外の業者間取引が卸売です。最近は外資の影響力が増してきているせいか、それぞれ英語由来の言い回しも聞かれるようになりました。 小売: B2C取引(ビートゥーシー-)、リテール(Retail) 卸売: B2B取引(ビートゥービー-)、ホールセール(Wholesale) ・入荷・入庫、出荷・出庫 これは、業者によって意味合いが変わるので、「全てのビジネスで同じ意味で使えるわけではない」という意味で厄介な表現です。以下は区別の例であり、業者ごとに使われ方が違います。勤め先での用法を確認しましょう。 ①会計的な分類: 仕入勘定で仕訳を切った時が入荷 売上勘定で仕訳を切った時が出荷 倉庫部門が材料等を受け入れた時が入庫 (仕訳無関係) 倉庫部門の製品等を運び出した時が出庫 (仕訳無関係) ※商品を青森倉庫から長野倉庫に移送しただけでは、社内取引の範疇なので出庫と入庫は生じない、とする業者もあるし、逆に社内取引でも必ず入出庫を認識する業者もある ②過程的な分類: 仕入先から材料等の発送連絡が来た時が入荷 運送業者から材料等を受け取った時が入庫(これも受入基準・検収基準等がある) 運送業者に製品等を預けた時が出庫 得意先から納品または検収の完了連絡を受けた時が出荷
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