解決済み
ご質問の判例のうち、昭和女子大事件の判例は、学則の細則に違反して無届で政治的目的の署名活動を行ったり、無許可で学外団体に加入した学生について、3ヶ月余りにわたり説諭を続けたものの、その学生の態度は変わらないばかりか、事実を歪曲した手記を発表したり事実無根のことを訴えるなど公然と大学を誹謗する活動を続けたため、その学生2名を退学処分にしたという事案について、退学処分が司法審査の対象となり得ることを当然の前提に、当該退学処分は裁量権の範囲内であるとして、その効力を是認し原告側の上告を棄却しています。 富山大学事件の判例は2つに分かれており、大学がA教授の授業停止措置と学生に代替科目履修の指示を行ったところ、原告の学生がその指示に従わずA教授の授業を受け続け、A教授が合格の判定を出しても学部長が単位を認定しなかったため、その学生が単位授与・不授与未決定の違法確認の訴えを起こしたところ、大学における単位授与行為は、特段の事情が無い限り司法審査の対象にはならないとして、最高裁は訴え自体を却下する原審の結論を維持しています。 A教授の授業を受講していた専攻科の学生も訴えを提起したところ、最高裁は単位の授与(認定)は司法審査の対象となり得ないが、専攻科修了の認定は司法審査の対象になり得るとして事件を破棄差戻にしています。 A教授の授業停止措置は、虚偽の成績証明書の発行を指示した不正行為を理由とするものですが、当該不正行為の事実があったかどうかは不透明で手続的にも問題があったとして、差戻審では専攻科修了を認める旨の和解が成立しています。 つまり、最高裁の立場としては、大学内部における単位の授与・認定は原則として司法審査の対象とならないが、大学の卒業認定や専攻科の修了認定は司法審査の対象になり得ると言っているわけです。
昭和女子大事件も司法審査の対象になっています。司法審査の対象になっているからこそ、裁量の範囲内であると判断しているのです。司法審査の対象にならない場合は、裁量の範囲内かどうかすら判断しません。
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