2012年の介護保険制度改正により介護に関する資格も見直され、「ホームヘルパー2級」の資格は2013年に「介護職員初任者研修」という制度に移行しました。 制度変更された理由 従来の介護資格は体系が複雑で、資格を取ったあとのキャリアパスもわかりづらいという欠点がありました。そこで、資格制度の体系化とキャリアパスシステムの導入を目的として制度が変更されたのです。 具体的なステップとしては、介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士という3段階に体系化されました。 ホームヘルパー2級と介護職員初任者研修は、名前の違いだけでなく内容にも差があります。ホームヘルパー2級では、講義・演習・実習で合計130時間の研修をおこない、修了試験はなく資格を得ることができていました。 一方、介護職員初任者研修では、講義と演習を一体化して合計130時間の研修をおこない、修了試験を経て資格が付与されます。ホームヘルパー2級とは異なり、実習は必須ではなくなりました。また、カリキュラムのなかに「認知症」に関する内容が追加されています。 なお、ホームヘルパー2級と介護職員初任者研修の履歴書における効力はほぼ同等とされているので、履歴書には資格の正式名称を用い、「訪問介護員2級養成研修課程修了」と記載することが可能です。 介護職員初任者研修を受験するためには130時間のカリキュラムを修了する必要がある 介護職員初任者研修では資格取得の試験がありますが、受験するためには、介護職員初任者研修の資格を得るためのスクールに通い、所定の130時間のカリキュラムを修了しておくことが必要です。 なお、スクールに通うための資格は特に必要なく、介護職員初任者研修を受講したい人は、学歴や他の介護資格の有無を問わず受けることができます。 介護職員初任者研修のカリキュラム 1.職務の理解 6時間 2.介護における尊厳の保持・自立支援 9時間 3.介護の基本 6時間 4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間 5.介護におけるコミュニケーション技術 6時間 6.老化の理解 6時間 7.認知症の理解 6時間 8.障害の理解 3時間 9.こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間 10.振り返り 4時間 以上10項目で、合計130時間です。 介護職員初任者研修の合格率は、公表されていません。しかし、カリキュラムで学んだ内容をしっかり頭に入れておけば難しくないといわれています。32ある各科目から1問以上出題され、回答は選択式と記述式があります。100点満点で70点以上が合格ラインです。 介護職員初任者研修は、受験者をふるいにかけるような資格ではなく、学んだことが身についているかどうかを確認するための試験なので、比較的合格しやすいです。 制度の変更によって廃止・移行された資格は、ホームヘルパー2級だけではありません。 ホームヘルパー2級の上位資格であるホームヘルパー1級は、「実務者研修」に変わりました。実務者研修では、ホームヘルパー1級のカリキュラムにはなかった科目が追加されています。 そのため、ホームヘルパー1級の資格を持っている人が資格を活かして実務者研修を受けたい場合、新科目である「医療的ケア」と「介護過程Ⅲ」で合計95時間の受講が必要です。 将来的に介護福祉士を目指したい場合にも実務者研修の取得が必須になるため、ホームヘルパー1級を持っている人は、ぜひ実務者研修の取得も検討してみましょう。 なお、実務者研修は無資格の方でも受けることが可能で、カリキュラムは合計450時間あります。また、介護職員初任者研修を受けている方は、130時間分の免除が受けられるため、合計320時間の受講が必要です。 制度の変更により、もともとあった「ホームヘルパー3級」の資格は、他の資格への移行はなく廃止になりました。
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