私は行政書士試験に合格している行政書士有資格者です。 近々 今勤めている会社を辞めて行政書士登録をし、個人の事務所を開設…

Question

私は行政書士試験に合格している行政書士有資格者です。 近々 今勤めている会社を辞めて行政書士登録をし、個人の事務所を開設したいと思っています。しかし、当面は収入がなんくなるので、正規採用ではないが、アルバイトをしたいと思います。ところが、民間企業においては行政書士としてはアルバイトができないと知りました。 また、友人(息子さんが有資格者)からは、「他にも行政書士には制約が多く、出来ない職業も多々あるらしい」と聞いています。 これからバイト先を探すに当たって、下記のどれなら問題ないでしょうか？ ご教示くださいますようお願いいたします。
(開業してからだと e と f くらいのものでしょうか)

a. 個人の行政書士事務所で行政書士として
b. 個人の行政書士事務所で行政書士としてではなく事務補助や雑務
c. 法人の行政書士事務所や法律事務所で行政書士として
d. 法人の行政書士事務所や法律事務所で行政書士としてではなく事務補助や雑務
e. 民間の株式会社で行政書士としてではなく事務作業や雑務
f. 一般社団法人の組織で行政書士としてではなく事務作業や雑務

Answer 1

a…これは全く問題ありません。が、そんな求人は滅多にありません。登録したてのころ、私もこの形で働きながら実務を覚えていずれ独立を考えていました。ハロワや求人サイトに全くこういう求人がないので、近場の行政書士事務所にメールや電話で問合せをしまくりましたが、返事が返ってきたのは1件、それも「登録前なら何とかねえ…自前の営業をした方がいいと思いますよ」という内容でした。雇ってくれる行政書士の立場から見たら、ライバルを育成することになりますので、まずこういう形で雇ってもらえることはないと思います。

b…これも問題ありません。ですがやっぱり求人は少ないですし、給料以外に得るものが少ないと思います。

c…行政書士法人としてやっているところに行政書士として勤めるのならばアルバイトではなく法人を構成している行政書士の一員になるということですね。ですが法人成りが済んでいるところに新しく行政書士を加える必要はあまりないと思います。法人成りが済んでいるのならば、わざわざ有資格者を加えなくても事務員に仕事をさせて記名押印だけ行政書士がすればそれでいい話ですから。また、法律事務所で働くというのはある意味新人行政書士の夢ですが、ごく一部の幸せな人しかそういう幸運には巡り会えません。

d…bと同じです。

e,f…なんとかセーフの範囲ですね。

ただ、個人的に見聞きしている範囲で、何を隠そう私自身もそうなのですが、アルバイトで生計を立てながら行政書士としてキャリアを積んで少しずつ行政書士業の収入が主になるように努力していこう、という考え方の人はまず間違いなく失敗しますよ。もしかしたら入るかも知れない将来の行政書士業務のために、今晩の食費を諦めることができますか？アルバイトしている時間は営業活動もできませんし、なんだかんだで結局アルバイトの方がドッカと生活の中心に座ってしまいます。
家と車のローンは簡単に完済してしまえるものではないので仕方がないと思いますが、それ以外の借金はクレジットカードの残高まで含めて全部返し、その上で生活費および行政書士業務に必要な出費（事務所の家賃など）を3年分、できれば5年分賄えるだけの貯金を作って、そこで登録して下さい。
場合によっては日本政策金融公庫（いわゆる国金）から開業費を借りるということも考えられますが、それをするつもりなら絶対に登録前にして下さい。登録後に国金に融資を申し込むということは、登録時点から今までの売上が審査対象になります。そして登録後すぐにガンガン儲かることはまず考えられませんので、審査に非常に不利になります。登録前なら、事業計画がきちんと立てられていれば可能性はあります。
自前の貯金にせよ開業融資にせよ、用意できた開業資金がじりじりと減り行くのを見ながらでないとなかなか覚悟を決めて営業活動なんてできません。人間はしんどいことはどうしても後回しにしたくなる生き物です。
行政書士の開業とは、自分で会社をひとつ作るのと同じです。登録開業すれば仕事が入るようになって、それがだんだん増えていくという考え方なら甘すぎる見通しです。最初の1件をどうやって獲得するのか、そこの戦略を具体的に立ててから登録して下さい。最初の1件を取れれば、2件目以降は難易度がぐっと下がります。